薄雪草 さんの感想・評価
4.2
物語 : 3.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
インディビジュアリティーへの面白さ
大人は、たくさんのペルソナを持っています。
仮面を付け替えながら、やりくりして生きています。
例えば、オーディンのように。
あるいは、観音さまのように。
しかして、悪魔のようにも振る舞い
ときには、天使のようにも微笑みます。
エゴイズムに身を投げ出すときもあれば
ヒロイズムに奮い立つ気持ちだってあります。
これもペルソナのもつストレングスのおかげ、かな。
~ ~ ~ ~
アニメーションは "カラフルな闇鍋" です。
ずいぶんな "でっちあげ" ですけれど、それがいいのです。
いっときだけ虚構のフタが開放され、温かい湯気にこころがほぐされるのです。
リアリズムは、いつだって灰色の檻に閉じ込めようと画策しています。
だから、ファンタジーは、"青の色" を胸の奥に注いでくれるニュートリションです。
嘘っぱちだとか、とんでも設定だとか、わかっています。
日常の小さなカケラや、特異で醜いドラマも、ありです。
メインのキャラでも、サブでも、モブでも、いいんです。
うんと共感し、同情できれば、たっぷりとシンパシーを感じます。
いつか受容し、理解できれば、ゆっくりとエンパシーが生まれます。
放映直後のトップノート、周回遅れのミドルノート、お気に入りのラストノート。
香りの余韻は変わっていきます。
この味わい深さが大好きです。
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浅草氏、金森氏、水崎氏が、挙って物語を掻きまわしています。
はっちゃけたキャラたちも、負けじと物語を掻きまわしています。
うん? "描きまわす" かな?
まだペルソナをもたない3人の若さは、眩しいほどにストレートです。
アイデンティティーの粗さだって、大人とそんなに変わらないものです。
彼女たちのアイデンティティーの後ろ側に控えているモノ。
それが、インディビジュアリティーです。
アニメーションが創造するモノは "生きることの可能性" 。
ですから、本作のコアをそう呼んでみたいと思いました。
individuality.
アニメーションの未来が、楽しみで仕方がありません。
若きクリエイターの皆さん。
インディビジュアリティーには "手を出して" くださいね。
これからも期待しています、ね。