シャベール大佐 さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
いつか終わりのときがやって来ることが常に意識される、感動系のファンタジー作品
様々な種族の人外たちが暮らしているが、人間は迫害され、ほとんどいなくなっているという世界を舞台に、森の番人・ゴーレムと人間の少女・ソマリという、血の繋がらない父と子が旅をする、ファンタジー作品。全12話。
物語は、長い年月を生きて死期が迫っているゴーレムが、ある日、森の中にポツンとひとりでいるソマリを見つけ、自分が死ぬ前にソマリを人間の元に返そうと旅に出る、みたいな流れ。基本的には、旅先各地での出会いや別れ、遭遇するトラブルなどを通して、ふたりの心の絆を描いていくような温かい作風なのですが、その穏やかで優しい旅の日常の背後には、ソマリが人間であることが知られると直ちに命に危険が及ぶという緊張感や、ゴーレムの余命が残り僅かであるという事実からくる悲しい結末の予感があって、観ているこちらも、どこか身構えていなければならない作品になっていました。個々のエピソードの内容については、ときどき都合の良さを感じる部分もありましたが、適度にハラハラする展開や感動する場面もあったりして、全体的に悪くなかったです。物語の最後の纏め方についても、これはこれで良かったと思います。
作画は綺麗。声は、主役の水瀬いのりと小野大輔、どちらも普通に良かったですし、終盤に登場した柴田理恵も全く違和感なかったです。音楽も、作品の雰囲気に合っていました。
最後まで観終わって、まあまあ面白かったです。この作品は、いつか終わりのときがやって来ることが常に意識される内容になっていましたが、そういった物語に視聴者を感情移入させるには、ソマリとゴーレムが共に過ごす何気ない日々の描写を、数多く積み重ねることがとても大切だと思うので、もしこれが2クールあったならば、もっと感動できる作品になったかもしれません。