pister さんの感想・評価
4.7
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
観終わった
シュルレアリズムってのは「常識」に対して「なんか違う、なんかヘンだ」と揺さぶりをかけるのがキモだと思う。
「あーハイハイ…んっ?」と二度見するような違和感というか。
常識では重くて大地にゴロンと転がってるハズの巨大な岩がプカプカと宙に浮いてたり、鳥は空を飛ぶものという常識に対して空が鳥になってたり。
ただこれ、ダリにしろマグリットにしろ、絵のうまい人がやるから「え?」となるワケで、ヘタな人がやったところで感心は引かない。
だって意図的にヘンテコにしたのか単に下手なだけなのかが分からないんだもの。
で、シュールギャグってのもその流れだと思う。
叶精作の超絶作画で「すごい…エレクチオン」と言わせ「え、それ真剣なの?ギャグなの?」と戸惑うのが真骨頂(ダミーオスカーに限らず小池一夫作品はギャグだと思ってます)。
チェンウェンの超絶作画で後ろ手に綾取りをやってドラえもんを作って「え、それ真剣なの?ギャグなの?」と惑わすところが真骨頂。
クロマティ高校やいちご味は、作者そのものじゃなくて池上遼一や原哲生の超絶絵を想像して、絵に対してやってることのバカバカしさがウケた。
かくしてこのドロヘドロ、紛れも無いシュールギャグ。
原作から凄いらしいけどアニメも作画はガッチリ真剣で、けどやってることは非常に悪趣味でバカバカしい(誉め言葉)。
次回予告なんて「そんなん知ったところで意味ねーよ」と突っ込まずには居られない。
というかこれ、和製ビートルジュースじゃんw
ホラーやスプラッタってのもやり過ぎるとギャグで、13日の金曜日やエルム街やヘルレイザーがシリーズを重ねるごとにお笑い方向に傾いていって、それの行き着く先はビートルジュースだと自分は思ってまして。
かといって洋画のB級ホラーかぶれ的な嫌味を感じないのは…絵柄が大友克洋なお陰?
サブタイ?で「ナイトメアビフォア○○」(ティムバートンつながりか)とか淀川長治ネタとか、洋画かぶれ臭いハズなのに大友絵がそれを帳消しにできてしまうってのはホント凄い。
その一方で谷岡ヤスジのネタなんかも飛び出してまぁビックリ、下らなすぎて笑い死ぬかと思ったw
なんといっても…個人的な話になっちゃうけどこれがMAPPA制作というのが趣き深い。
だってねぇ、キャラデザ違うしスタッフもいちいち調べてないけどMAPPAって“バナナフィッシュ”作ったトコじゃーん?
あれで大友克洋絵を研究してそれのノウハウをこっちで生かした感じがして…あんま面白くなかったけどバナンフィッシュを全話見た自分が報われた気分w
あと“かつ神”もちょっとそんな気分にさせるかな、あれで半獣バトルを描いた経験がこっちで生かされてたりして?
ああそうだ、それと超絶作画でバカバカしいことやって笑いを取るといえば“あそびあそばせ”の原作も該当すると思うのだけど、アニメでは作画がそこまで凄くなくて台無しだなぁと思ったことがありまして。
これは制作違うし参考にしたかは知らんけど、同じ轍は踏まずに頑張ってくれたのはホント助かる。
個人的な話ついでとしては“レヴュースタァライト”のバナナは、この作品の二階堂みたいなプロポーションだと脳内補完して見てました。
妙にヘビー級の強キャラ感があってねぇ、やっぱ格闘はウェイト乗っててナンボだよね、とか思ったり。
あとこういった世界観、退廃的っていうの?では「バイクが出ないとケシカラン」って考えを何故か持っていて、この作品では話に一切関与しないのにバイク(作中の扱いはホウキ)を出したのは「わかってらっしゃる」と感動すら覚えた。
悪趣味ではあるけど、悪魔と契約する黒魔術(魔法使い)がマイノリティじゃなくてマジョリティな世界があったとしたら、こうなるのは自然かな?という説得力はある。
まぁグロ表現といっても所詮TVで流せる程度のものだし、そういうのをゲラゲラ笑って見られる人、特にビートルジュースをスナック菓子食いながら爆笑できる人はこれを見ないのは勿体無い。