ウェスタンガール さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
素晴らしき戦争 OH, What a Lovely War
リチャード・アッテンボロー監督の“戦争ミュージカル”、戦争の悲惨さを声高に叫ぶわけでもなく、死にゆく若者の姿を、淡々と、しかも象徴的に描いた世紀の怪作である。
“幼女戦記”を観ていると、描き方や道具立ては違えど、そこに、同じ雰囲気を感じる。
ターニャの立ち位置やファンタジーのベールで包んだ戦闘の描写、されど、あっけなく退場を強いられるキャラ達に、悲劇よりも喜劇を感じてしまうのだ。
なにより、名は体を表すと言おうか、薄っぺらな正義感と悲劇性が具現化した“メアリー・スー”という存在である。
彼女が巻き起こす、いわゆるメアリー・スー的大暴れはセルフパロディそのものであり、その時、戦場は喜劇の舞台と化すのである。
(意味不明ならば、スタートレック、メアリー・スーとググってほしい)
劇場版の世界は、それまでの展開と異なり、“明るく”、“楽しい”ものとなっている。
第二帝国はコミュニストから自由と平和を守る盾であると言う。
そう、彼らには大義があり、シベリア出兵の頃の大日本帝国と似た設定だ。
そこには、軍事オタクの妄想的戦記が繰り広げられる。
そこは第二次世界大戦の見本市だ。
バルバロッサ作戦はコミュニスト側から仕掛けられる。これは、東部戦線のお話。
北部方面軍が落とそうとするのは、交通の要衝であるアントワープ、これは、“バルジ大作戦”で映画にもなった“ラインの守り作戦”で、西部戦線でのお話だ。
とどめは“第二〇三魔導大隊”によるモスコー急襲だ。
もちろんこれは、ドゥリットル隊による東京空襲がモチーフであろう。連合艦隊がミッドウェイにおびき出される契機となった作戦だ。
等々、存在Xである原作者?は、面白くて仕方がないだろう。