きつねりす さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
8年待ったファンの溜飲を下げるラストに期待
序、破と続いてきたTVシリーズ路線+αの描き方から完全に新たな境地へ突入した今作、Q。状況からキャラクターの立ち位置、今作で何が起こり、この先何が待ち構えているのかというストーリーを相変わらずの専門用語攻めや意味深な台詞回しで表現する庵野ワールド…確かに一度見た感想として「なんだこれ」というのが真っ先に出てくるのは頷けるけど、続きを期待してしまう見せ方を熟知した幕引きや、完成したストーリーを1から練り上げ直したエネルギーはやはり凄いとしか言いようがない。納得いかない方は『エヴァシリーズは全てを理解しようと思わないようにするのが正しい見方である』ということを念頭に置いて見ると楽に見れるのではないだろうか…
かく言う自分も「意味がわからない」という前評判を耳にしていたので、最近の『シン・エヴァ』がある程度出来上がったタイミングでの今回の初見だったけど、「よくネタバレを踏まずにここまで生きてこれたな」というくらいにチャプター毎に展開が進み続け、終わるまでが本当にあっという間。そして最後の『つづく』をよすがにファンはよく8年も待ったなと頭が下がる思いも同時に感じました。
これからの構図としては{netabare}世界の権力を盾に私欲を実現しようと目論むシンジのパパに、ミサトさん率いる革命派があるべき個、限りあるからこそ尊い命といったありがたみを説くような展開になるのでは{/netabare}と予測しますが果たして。
それにしても多くのテーマを内在しながら考えさせられる作品を生み出したなぁ…と感心せずにはいられません。エヴァのスタッフは本当に1人1人が凄い。単体ものとして見るとやはり親しみやすかった序や破の満足度が高く、急にややこしさや難解な設定が先行する今作Qのスコアが低いのは仕方のないことだとは思うけれど、やはり『新劇場版』という流れで見るとこの一本は革新的。もっと評価されていいし、次に期待のできる重要な布石だと思います。