「痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。(TVアニメ動画)」

総合得点
81.0
感想・評価
783
棚に入れた
3247
ランキング
428
★★★★☆ 3.5 (783)
物語
3.3
作画
3.7
声優
3.6
音楽
3.4
キャラ
3.6

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ネタバレ

ちゃんもり さんの感想・評価

★★☆☆☆ 2.0
物語 : 1.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 2.0 キャラ : 1.0 状態:途中で断念した

ご都合主義に極振りなので視聴を断念したいと思います。

私は普段、某アニメストアでアニメを視聴させてもらっている。

本レビューとは全く関係ないのだが、どうにも配信作品に偏りがある。
2020冬期に私が観たかった「ドロヘドロ」や「空挺ドラゴンズ」が
配信されなかったこともあり、私の中では2020冬期は不作クールに
なってしまった。
つまり何が言いたいかというと、今期イマイチ視聴意欲をそそられない中で
それでも展開次第でワンチャンスに賭けて視聴したのが本作である。
事実、「慎重勇者」など気乗りしないで観始めたのに気づいたら
完走していた例もある。

さて、本作「痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいとおもいます」も
長ったらしいタイトルからお察しの通り、思いっきりなろう系である。
所謂なろうテンプレとしては主人公が異世界に転移・或いは転生するところから
スタートすることが多いが、本作はあくまで「ゲームの世界」と明記されており、
異世界系と言うよりはどちらかと言うとソードアートオンラインに近いだろう。

ゲームなどおよそ未経験の主人公・楓が友人に誘われてMMORPGの世界に
足を踏み入れる。ステータス設定時に「攻撃されて痛いのが嫌だから」という
理由で防御に数値を全振りする。
正直、タイトルで長々と物語のテーマを打ち出している割にはシナリオに
生かされているシーンはここだけである。
防御に全ステータスを振る、というのはそれ以外を捨てるということであり、
その状態で敵と対峙する、PTに貢献するというハードルをいかにして
クリアするのかがストーリーの醍醐味になるはずだが、敵と闘えば
都合良くスキルを獲得し、ボスと闘えば都合良くオンリーワンアイテムが
ドロップし、ギルドを結成すれば都合良くまわりが加入してくれる。
終始、主人公に都合良く世界が回る。

そして肝心の「防御に極振りしたから何なのか」がこれっぽっちも語られない。

例えば、「境界線上のホライゾン」にアデーレ・バルフェットという
キャラがいる。父親から受け継いだ「奔獣」という機動殻に乗るのだが、
これがひたすら重装甲にしたため機動力はほぼゼロという代物。
至近距離から戦車砲食らってもノーダメージ。
当然機動力ゼロなので仲間に運ばれて楯代わりに使われたり、
鎖に繋がれて振り回されて敵にぶつけられたり、あげく
アデーレ自身は奔獣の「芯」呼ばわりされたりと作品内で散々な
扱いを受ける。ところが、これがめちゃくちゃキャラが立っていて面白い。
そしてそんなネタキャラである彼女が終盤見せる成長シーンは
泣いてしまう。咽び泣いてしまう。

対して本作の主人公はせっかく防御特化という設定を貰っているにも
関わらず、全くその設定が生かされない。
彼女が真剣な理由で楯と防御にこだわり、それがために犠牲になるゲームプレイに
苦悩し、もがく中で誰にも真似できない彼女だけのプレイスタイルを
掴み取ったなら、きっとそこにカタルシスを得られよう。
ところが終始、防御特化とは何の関係もない幸運だけで強くなり、
足枷だったはずの攻撃力や機動力も幸運だけで手に入れる。
この時点で、「防御特化」という設定自体がもう要らない。

また、実際のオンラインゲームには必ずゲームバランスというものが存在し、
強力な装備や数量限定アイテムは入手しにくいように調整される。
時には20人以上揃わないと挑戦できない期間限定のレイドイベントで
数パーセントとという低確率でしかドロップしない素材を幾つも揃えなければ
作成できない装備なんかもある。
オンラインゲームで高ランカーを目指すのはそのくらい過酷なのだ。
特に何の苦労もなく他プレイヤー涎垂の装備やスキルを次々と手に入れていく
主人公を見て、他のプレイヤーはどう思うだろう?
特に、主人公にこのゲームを勧めた友人であるサリー。
主人公より遥かにゲーム歴の長い先輩プレイヤーであるギルメンたち。
少なからず、時間やお金をこのゲームに注ぎ込んでいるはずの
彼らが、主人公に100パーセント好意的で居られる訳がない。
ただ単に主人公にとって都合が悪いからという理由で彼らの感情の
機微が描かれないのであれば、彼らの存在自体が要らない。

中盤まで視聴を続けたが、残念ながら何のドラマも起こらない。
ドラマが起こらないのでキャラの掘り下げも行われない。
掘り下げられないキャラ達に感情移入など起きない。
それどころか、毎回都合良く無双する主人公に不快感さえ覚える。

この作品の製作委員会が立ち上がったとき、誰も疑問に思わなかったのか。
私だったら「こんな作品に予算と人員を割くのは全く無駄だ」と切り捨てる。
しっかり原作内容を吟味していればこんな駄作アニメは産まれないはずである。

「小説家になろう」掲載作品は、プロの編集者に篩にかけられていない分、
玉石混交だ。リゼロやこのすばが売れたのは「おもしろい」からである。
これだったら同じなろう作品でも「鬼人幻燈抄」や
「生き残り錬金術師は街で静かに暮らしたい」あたりを
やってくれた方がよほど観応えのあるアニメになるだろう。

近年は本作のように「なろう作品は手軽にアニメ化できて流行る」という
勘違いからろくにチョイスもせずに駄作を量産する流れが
半ば定番化しつつあり、大変嘆かわしい。

こうなっては真のなろう最終兵器、無職転生に期待するしかないが、
コロナの影響でどうなることやら・・・。

投稿 : 2020/03/29
閲覧 : 241
サンキュー:

8

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