Derp さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
「アイドルアニメ」へのアンチテーゼ
アイドルアニメは一般的にアイドルとして成功するまでのサクセスストーリーが描かれますが、22/7のアニメはミステリアスな要素とキャラクターのバックグラウンドと『プロジェクトとしてのアイドル』が描かれた作品でした。
キャラクターの幼少期のエピソードは綿密に描かれている一方で、アイドルとしての成功の過程はほぼ省略されています。
最終話で一度解散させられた22/7のメンバー達は壁を打ち破って自分達の力でグループを再結成させたかに思えました。
しかし、壁の先に用意されたステージは、壁と呼ばれていた仕掛け人によって指示されたマネージャー・合田達スタッフが予め準備していたものでした。
そして22/7がラストで再集結のライブをした後に、壁がいつも通り新たな指令を出したということは、"仕掛け人"にとってこのシナリオも計画通りだったということです。
無理矢理解散させたのは、これまで指令に従ってきただけだった22/7のメンバー達が、本心からアイドルをやりたいと思っていることを再確認させるプロセスだったのでしょう。
序盤のある回で、デビューしてからすぐに大規模なライブに出させてもらった時にメンバーの一人が、「漫画なら絶対叩かれてる」と自虐的なセリフを言います。
このように、アイドルが自分達だけでメジャーな成功を収めることは決してできないし、大人たちの力なくしてはアイドルとして存在することもできないというのをこの作品はアンチテーゼとして示したのではないかと思いました。
新しいアイドルユニットとは思えない高待遇も、解散の会見をする場も、再結成する場もそこに置かれたマイクも全て仕掛け人達によって準備されたものというのがそのテーマを物語っています。
この全12話では、8人のメンバーが招集された理由は結局明かされませんでした。それが何なのかは知りたい気がします。
本作で最も惜しいのは、キャラクターデザインの堀口悠紀子氏がアニメの制作に参加していないことです。
以前公開された「あの日の彼女たち」というショートアニメでは、堀口悠紀子氏が作画監督として参加し、非常に高いクオリティで制作されていました。ですのでなんだかもったいないですね。
良いと思った点は、個性を犠牲にしてもキャラクター性より人間性を取っていることです。
アニメやゲームのキャラクターは、アイデンティティのために過剰にキャラ付けすることが多いですが、本作の場合は二面性を持たせたりして、自然なキャラクターを作っているところが好感が持てました。