つち さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:今観てる
棒読み、について
この作品の声優(主にみうちゃんとニコルちゃ)が「棒読みだ」って言って批判してる人が多い。
確かにそうかもしれないけど、ただ、少し考えて欲しい。何故棒読みは駄目なのか。棒読みに対し拒否感を持つのは、単にアニメというものに対する固定観念から来ているのかもしれないのだ。
棒読みが駄目なる理由として、主に考えられるものは2つ。1つ目は、不自然に感じられること。本当にそのキャラクターが意思を持って話しているのではなく、ただ役者がセリフを言っているようにしか聞こえない、という意味での不自然さだろう。2つ目は、その人物のキャラクター性に合わないこと。例えば、オッス、おらワクワクすっぞ!を棒読みで言われたら不自然でシュールなことこの上ないだろう。
だが、この2つの問題点は、果たしてこの作品に当てはまるのだろうか?
まず、1つ目の問題について。あの話し方は、キャラクターが喋っているように聞こえないのかどうか。これに関してはもちろん人の感じ方次第だが、かといって、棒読みである、というだけで否定はできないと思う。考えてみてほしい。現実世界で、本当に悟空やルフィー、チノ、ココア、その他いわゆる「棒読みでない喋り方」、言い換えれば「抑揚が強調された喋り方」で話す人がいるだろうか。僕はあまり見たことがない。普段、我々はもっと抑揚のない話し方をしているはずだ(そもそも日本語って基本英語とかに比べて抑揚のない言語だし)。もちろん、この作品はアニメだ。しかし、その表現したかったものは、ラブライブなどの他のアイドルものや少年漫画、異世界ものなどのファンタジーではなく、もっと現実に近い世界観だ。これに関しては、彼女たちの持つ問題や彼女達の会話、そして作画などにとてもリアリティーがあることから明らかだ。そして、現実に近い世界観では、普段我々が使っている抑揚の少ない話し方、アニメに当てはめて言えば「棒読み」とされるような話し方をしているのは、「抑揚のありすぎる話し方」よりそのキャラクター、世界観に合っているのではないだろうか。
第二に、彼女達の棒読みは、キャラクター性から見て不自然なのだろうか。
全てのキャラクターについて事細かに話すのは無理なので、「棒読み」と批判されることの多い滝川みうと斎藤ニコルについて話す事にする。
まず、みうについて。ある程度22/7というアイドルグループについて知っている人は「そもそもああいう喋り方だ」と知っているだろう。そのことを抜きにしても、不自然、不相応な話し方とは言い難い筈だ。。アニメを見た人ならわかると思うが、彼女はかなり内気で人と話すのが苦手な性格だ。そんな人間が、果たしてそんな抑揚を持って話すだろうか。あまりピンとこなかったら、修学旅行の班分けで一番最後に余ってしまっていた人がどんな話し方をしていたかを思い出して頂きたい。とりあえず僕の話し方には抑揚がない。
よって、棒読みというだけでキャラクター性に合わない、という事にはならないだろう。
次に、ニコルについて。彼女の棒読みというのは、メンバーに対してのやや高圧的な話し方についてだろう。だが、ここで注目すべきは彼女のメンバーに対する姿勢、態度がどうして冷たく、高圧的なのかの理由だ。それは、彼女が他のメンバーへの関心が薄いからだろう。後々愛着、信頼が生じてくるにしろ、彼女は余り素直でない、ツンデレ属性であるので、表面上は無関心な態度を取り続ける。
ところで、無関心な相手に、わざわざ抑揚のある話し方をするだろうか。抑揚のある喋り方をする時は、基本テンシャルを上げている時だろう。抑揚のない喋り方をするのは、その逆だ。無関心な相手と会話する時、つまりテンションがさして上がらない時は、わざわざ抑揚をつける必要性がない。
以上のことから、棒読みがキャラクター性に合わない、という事にはならないだろう。
では最後に、何故棒読みは否定されるのだろう。それは、基本「演技をする時は棒読みではいけない」とどこでも教わるからだろう。演技をする以上、その人物になりきらなくてはならないが、棒読みが合うキャラクター、作品はほぼ無いので、棒読みは忌避される。逆に言えば、棒読みでさえ無ければ、ある程度基準を満たしていることになる。そして、この「棒読みはいけない」という考えは、ある種の固定観念となっているのだろう。
もし、僕の今までの意見が正しいならば、このアニメの棒読みに対する否定、批判はこの固定観念に囚われていることにのるものだろう。