蒼い✨️ さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
素晴らしい作品です。
【概要】
アニメーション制作:シンエイ動画
1983年3月12日に公開された劇場アニメ。
原作は、藤子不二雄が『月刊コロコロコミック』
にて連載していた「大長編ドラえもんシリーズ」作品。
監督は、芝山努。
【あらすじ】
夏休み。大西洋バミューダ諸島沖の海底で、二十兆円相当の財宝を積んだ、
16世紀頃のスペイン船・サンタフラメンコ号が発見された。
一方でそれとは無関係な日常。みんなでキャンプに行こうと話し合う、
のび太たち4人がいたが、行き先の意見が海と山で2対2で真っ二つ。
5人目となるドラえもんの一票で決まる状況で板挟み。キレたドラえもんは、
『海で泳ぎながら山に登ろうじゃないか!』と言い出した。
真っ暗でペシャンコになる海の底でキャンプをすることに懐疑的な面々。
特にジャイアンとスネ夫は不機嫌になって、ドラえもんと物別れに終わった。
が、沈没船が行方不明になったとのニュースでジャイアンとスネ夫は財宝目当てで心変わり。
だが、沈没船があるのは大西洋でドラえもんの想定する行き先は太平洋。
ジャイアンたちは、とりあえずはドラえもんに従ったふりをしてキャンプに参加決定。
あとで、行き先はなんとでもなるという考えだった。
一方、夏休みの宿題を全部片付けないと、ママからキャンプのお許しが出ないのび太。
勉強が全くわからないのび太だったが、みんなの協力があって3日間で終わらせた。
そして、海に出発する5人。「テキオー灯」の力で海中でも呼吸が可能で、
水圧にも負けずに海の底でも地上と変わらず光を感じる事ができる。
5人は「水中バギー」に乗って深海の美しい景色を楽しみ、夢のような時間を過ごすのだった。
【感想】
大長編ドラえもんの第4作目。
リメイク版をあわせても最も興行収入が低い(10億円)とのこと。
かといって出来が悪いわけでは、ありません。
アニメーションとは作画で情報を伝達して目と耳で楽しむのが基本であって、
シンプルに伝わるものがあれば、それでいいわけでして、
ドラマ性とか複雑な設定に凝っても、それをわかりやすく伝えることが出来なければ、
視聴者を選別することになります。マニアックさが持ち味となってウケることもありますが。
この作品の魅力とは、前半部分では深海世界の楽しさを視聴者に伝えた、
さながら冒険アトラクション。日常から解放された世界に触れる喜びを味あわせてくれる。
のび太たち5人が得た感動を共有できれば、まっさらな童心で楽しめると思いました。
原作者が一からでっち上げた架空の世界ではなく、
個人的には好みではないヘンテコ動物も一切出てこなく、
バミューダトライアングルや海神ポセイドン、ムー大陸やアトランティスなど、
既存の神話や伝承をモチーフに一本のストーリーに練り上げたところ、
SF作家としての藤子先生らしさを発揮ということで、
「のび太の恐竜」から4作目までの範囲では、
一番に子供のようなワクワク感が堪能できました。
後半になるとアトランチス帝国の存在により、一転してドラえもん史上でも最大級のシリアス展開。
海底二大勢力は昭和当時の米ソ冷戦状態のイメージ。そして、核兵器への恐怖をモチーフとしたお話。
ちと急展開なのですが、地球滅亡の危機。強大すぎる敵を前にして緊迫感のある物語。
人の優しさに触れて心を持った人工知能と心を持たない殺人コンピュータの対比など、
見どころ満載の物語です。
有名すぎるので敢えて隠しませんが、絶体絶命のピンチでの水中バギーの特攻シーン。
圧倒的な暴力に立ち向かうのは、愛情と勇気だということでしょうか?
イケメンキャラでも美少女キャラでもない喋る車に過ぎない水中バギーで、
あれだけ感動を受けられる。それは、水中バギーが元々強くて勇敢であれば不可能でしょう。
臆病で自分勝手だったバギーが大好きな人のためにポセイドンに立ち向かう姿であるからこそ、
心に強く刻まれる。それが、全てのドラえもん映画でも屈指の名シーンであるのです。
「のび太の海底鬼岩城」がリメイクされないのは、1983年版で完成されていて、
手を入れる余地がないからかな?と、個人的には名作と呼ぶにふさわしい作品だと思いました。
(そんなこと言ってると、そのうちリメイクされるかもしれませんが)
これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。