kazz さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
現代人には失われた行動原理。
終身雇用制度が崩壊しつつある日本。
会社が嫌になったら転職すればいい。フリーランスって生き方もアリじゃない?
そんな感覚を持つ現代人として、本作の主人公である伏くんの生き方はなかなか共感しずらいものです。
それでも、彼の生き方はとても美しい。
組織に忠誠を誓い、組織のために仲の良かった同期を、恋した人をも殺める。
極端に個人主義的な現代に全体主義への郷愁を感じました。
なーんて酔った勢いで適当な事を書きましたが、本作の魅力は繊細で緻密な作画でしょう。セル画の最高峰と名高い本作。ヒラヒラするスカート、螺旋階段を降りるヒロイン。何のことない描写でもその作画ストレスはプロのアニメーターさんが舌を巻くレベルと言われています。そんな超絶技巧に対する感覚を鍛える上でも本作は良い教科書になるはないでしょうか。自分にはサッパリ分かりませんが。
適当ついでに、本作は押井守監督が声優の千葉繁氏のプロモ映画として制作した実写映画「紅い眼鏡」から派生した「ケルベロスサーガ」と呼ばれる作品群の一つでもあります。作品群の共通事項としては主人公が纏う強化服「プロテクトギア」しか無いわけですが、これがカッコいい。
敵の銃弾を装甲で弾き、自らは電動ノコギリと呼ばれた軽機関銃MG42で敵をなぎ払う。物語の終盤にこのシーンがあるからこそのカタルシス。
というか、この作品群の魅力の6割はこのプロテクトギア起因なのでは無いかと思っちゃいます。
最後に本作は韓国製のネトフリ映画として実写化されています。本作は架空の戦後日本が舞台でしたが、実写版では架空の朝鮮半島となっています。大変良い改変だとお思いました。プロテクトギアの出来も素晴らしいです。超動くよ!終盤の戦闘シーンだけでも観る価値アリです。しかし {netabare} 物語に若干の改変があります。本作に思い入れのある方からすれば「やってくれたな!?」と声に出してしまうこと請け合い {/netabare}です。
ただ、それを含めて、やはり現代は個人主義が行き過ぎていると思わざるを得ないのです。。。
追記:乾くんは「ケルベロス 地獄の番犬」の主人公でした。本作の主人公は「伏(ふせ)くん」です。お詫びして訂正します。