退会済のユーザー さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
死人の街、ロアナプラ
本作の素晴らしき点はアンダーグラウンドの見事なまでの描写と、人の生に関する奥深い問いである。
その中でも二つのストーリーに心を奪われた。
一つ。ロリータ双子。
生まれ育つ環境によって人は異常なまでにも社会から逸脱してしまう。人が人として存在できる最低ラインのアイデンティティの一線を超えた状態が運命によって仕組まれているという世の不条理と哀しみ。
二つ。雪緒。
家系以外は真面目な女子高生。読書を好み、ロックとの会話でサルトルの実存主義に自身の思考を委ねる。
「人はサイコロと同じで、自らを人生へと投げ込む。」
そして、ロックが何も考えずここまで歩んできたことを言及され、伽藍堂であることを受容できずに動揺する。人の"覚悟"は、社会的位置を受け入れることにあるという現実的(大人的)な思考を持った雪緒だった。
ブラックラグーンにおいて会話は全て洒落ており、人生への問いかけが多くなされている作品だと感じた。私自身も元哲学科で、哲学とは何かを自分らしく答えることができなかったが、ヒントを得て一歩真理に近付いたかもしれない。
ちなみに、多くの人は哲学という言葉を信念と混同している。
いやあ、本当に良い作品だ。誰もが個性があって主張がある。21歳になったばかりの若造が最近思うのですが、「生きる」という難題は、面白さや美しさ、悲哀、恐怖、苦痛など様々なものが幾重にも重なってできていて、一人一人が人類史における一つの小さな作品を生み出しているに過ぎないのではないかと。そう思い始めています。
私が住むここ日本と、ロアナプラ。お金を貯めて私は様々な世界をみたい。小中学生のときに深夜アニメや洋画を観まくっていて良かった。だから私の今がある。