蒼い✨️ さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
個人的には好き。
【概要】
アニメーション制作:シンエイ動画
1981年3月14日に公開された劇場アニメ。
原作は、藤子不二雄が『月刊コロコロコミック』
にて連載していた「大長編ドラえもんシリーズ」作品。
監督は、西牧秀夫。
【あらすじ】
のび太は夢を見ていた。遠い宇宙のどこかで、宇宙船で逃げる少年。
操縦席の横にはピンク色のウサギに似たようで人の言葉を喋る生き物。
追いかける大きな武装宇宙船からの砲撃が命中しての窮地に、
このままやられるよりましだと、少年は光速移動中にワープ装置を作動。
彼らが超空間に逃げ込んだところで、のび太は目が覚めた。
起きるとのび太の枕元にドラえもんがいて、
ジャイアンからの呼び出しを伝えられる。
のび太が、ジャイアンとスネ夫に見せられたものは、
いつも野球をやっている空き地を占領している、
ユニフォームを着た中学生の一団。
ジャイアンもスネ夫も身体の大きい中学生相手では及び腰であり、
彼らと交渉して空き地を取り返す役目をのび太ひとりに押し付ける。
結果として、のび太の言葉が中学生らを大激怒させて失敗。
当然、ジャイアンたちに許してもらえず追いかけられて、
しずかちゃんの家に逃げ込むのび太。
しずかちゃんの説得でジャイアンたちと話し合った結果、
ドラえもんに代わりの空き地を探してもらうことに。
帰宅していつもどおりドラえもんに泣きつくのび太であったが、
空き地を造れるわけないし、日本にはそんな土地はない、どこか遠い星でもないと、
難色を示しながらも解決方法を考えることを約束するドラえもん。
その日の夜中、のび太は揺れを感じる。地震だと大騒ぎするが、
寝ぼけてないで寝るようにパパとママから言われる。
しょげながら寝直すのび太であったが、畳の下から何かが飛び出て、
布団ごと弾き飛ばされるのび太。冷蔵庫を荒らし、逃げては暴れる生き物。
それは、夢に出てきたピンク色のふわふわだった。
畳の裏が金属の扉になっていて、それを開くと宇宙船の倉庫と繋がっていて、
そのぬいぐるみみたいな生き物のチャミーに、宇宙船の中を案内されると、
夢に出てきた少年ロップルがいた。
タイムふろしきで宇宙船の故障を直し、
のび太とドラえもんは、ロップルとチャミーと仲良くなるのだった。
【感想】
大長編ドラえもんの第2作目。
のび太たちが宇宙開拓移民の惑星“コーヤコーヤ星”に行って友情を温めたり、
不思議な生き物に触れたりする作品。
物語を盛り上げる要素として悪者“ガルタイト鉱業”も出てきます。
大長編ドラえもんのスタイルとしてゲストキャラとの交情があります。
今回のお相手は、
爽やかな少年ロップルに、お転婆チャミー。
21エモンにも出てきそうな彼らですが、
ロップルくんに家なき子のレミの菅谷政子、
マスコットのチャミーにアルプスの少女ハイジの杉山佳寿子を起用。
出会ってすぐに、のび太やドラえもんと親友になったロップルや妹クレムらを見るに、
付き合いが長くとも、今回特に身勝手で汚い部分が目立つジャイアンとスネ夫が、
見事に遠い宇宙の友人たちの引き立て役。(土壇場でのび太への熱い友情を見せますが)
まあ、優しく穏やかで喧嘩しないだけの友達は理想ですよね。
ですが、人と人が交わるのは良いことだけではありません。
人間同士の付き合いには、思い通りにならない嫌な部分も当然あります。
たとえば、心優しくも甘えん坊なのび太だって、
空気を読めない発言で人をグサリと刺すことがよくあります。
ジャイアンとスネ夫も、ロップルたちの知らないのび太の嫌なところを、
たくさん知っているからこそ、あいつにはあれぐらいの態度で、
丁度良いと思っているかもしれないです。(いじめっ子の理屈)
おとなになるというのは、失敗をバネにして他人に対する想像力を磨くということなのです。
ロップルにも腐れ縁と言える程度のつきあいの長さと深さがあれば、
のび太のおっちょこちょいでお調子者なところに呆れることもあったかもですね。
のび太とロップルの人間関係に感動することがもしあるならば、
人と付き合う難しさから、こんな友達が欲しかったとの理想を二次元に求めてしまってるかも。
と、視聴者が癒やしを得ているのかもしれないと思うことがあるのですが、
知らない惑星での新しい友だちが出来て、協力して、別れの時が来る。
その、切なくも温かい空気感。BGMとして流れる主題歌「心をゆらして」
なんだかんだ言いながらも、自分は友情作品としては楽しかったです。
その一方で冒険活劇としては、微妙ですね。
遠い宇宙の惑星で重力の違いでスーパーマンになれるという話。
子供の夢と爽快感のあらわれなのでしょう。
ですが、地球ではドジで非力なのび太が低重力の星で弱い大人相手に無双できる世界ということで、
敵と戦うという一点では、そのへんのなろう作品と精神的には大差ないと個人的に思いました。
一応、今作品では緊迫感を添える存在としてギラーミンという知恵も腕もある悪役がいるのですが、
原作漫画では美学を持ち格好良いギラーミンがアニメでは単なる小物悪役とキャラが違ってたり、
語りぐさとなっている、のび太との銃での決闘シーンが全く違ったものになっていたり、
原作者の藤子先生が脚本書いてるのに「なんで、こうなったの?」みたいな部分がありますね。
リメイク版でもギラーミンの扱いが残念だったりと、つくづく不遇な存在ですね。
と、良いところもイマイチなところもあるのですが、
演出が良くて泣けるつくりになっているので、自分としては十分に心に残る作品でした。
簡潔ですが、これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。