るーも さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
ご都合主義では終わらない
地上波で放送されたストーリーは良作と呼ばれるに値する面白さだったと思う。ただ、名作と呼ばれるにはわかりやすいストーリー展開、悪く言えばありがちな展開だったと言える。しかしながら、この劇場版では『タイマス事変』という事件が起こった後の主人公、宮森あおいの挫折や孤独、また武蔵野アニメーションの衰退、メンバーの流出という絶望的な展開から幕を開けた。PVをみて何か事件があったというのは予想できたが、最初からシリアス展開とは思いも寄らず、いつもの雰囲気を楽しみにしていた自分は衝撃を受けた。戦闘ものならいざ知らず、このようなジャンルのアニメが最初からシリアス展開全開なのは非常に珍しいと思ったからだ。「これは難しい構成にしたな」と内心良い作品になったのか半信半疑だったが、杞憂だった。宮森あおいの持ち前の行動力が特に際立ち、挿入歌も多く取り入れ、斬新なストーリー展開だった。それと同時に、仕事の厳しさを劇場版ではより強調しており、生々しくも共感をすることもできた。テレビ版では良作にとどまっていた『SHIROBAKO』は劇場版を経て『名作』になったのではないかと思う。ただ、少し残念だったのは、2時間でこの構成を仕上げなかった行けなかったところである。ストーリーの調子を上げるのは簡単だが、下がったところから上げていくのは時間がいる。それを劇場アニメを作ったとはいえ、テレビ版の半分の時間で仕上げるのはさすがにきつかったのだろうが、少し展開が早足だったのが惜しかった。武蔵野アニメーリョンの復興の続きを是非アニメ2期かもう1回劇場版でみてみたい。