ちゃんもり さんの感想・評価
3.0
物語 : 1.5
作画 : 3.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:途中で断念した
設定はなかなかおもしろい
各作品ともに佳境に入ってきた2020冬アニメ。
その中でも本作は私個人的にそこそこ期待していた作品だった。
・・・だっただけに、どうにも残念な結果と言わざるを得ない。
登場人物のキャラ設定がなかなかおもしろい。
主人公①:岩永琴子
大学生(中学生にしか見えn・・・おっと誰か来たようだ)。
幼少時に怪異に連れ去られ、「自分たちの知恵の神になってほしい」と
頼まれ、ほいほいOKしたら片足と片眼を持ってかれた。
病院でばったり会った九郎に一目惚れ。半ば強引に恋人になる。
主人公②:桜川九郎
大学院生。家庭の事情(?)で幼少時に実験体にされ、2つの妖怪の
肉を食わされる。親戚の子供の多くは同じ実験で拒絶反応に耐え切れず
死亡したもよう。
ひとつは「くだん(自身が死ぬときに未来をひとつ予言する)」
ひとつは「人魚(死なない体になる)」
二つの肉を食った九郎はデスペナルティなしで未来予測ができる能力を
手に入れる。
この2人を軸に物語が進んでいくわけだが、前半は知恵の神になった
琴子が様々な妖怪から知恵を貸してくれと頼まれ、九郎もなんやかんやで
それに巻き込まれつつ、距離を縮めていく。
このあたり、新時代の夏目友人帳的な感じで非常に好感が持てた。
私ががっかりしてしまったのは、第9話「鋼人七瀬攻略議会」である。
中盤以降、不慮の事故で亡くなったアイドル「七瀬かりん」の死の真相が
ネット上で虚実入り混じる都市伝説と化したことで生まれた
「架空の怪異」である「鋼人七瀬」に焦点を当てて物語は進んでいく。
二人は鋼人七瀬を追ううちに、ネット上に生まれた都市伝説は意図的に
生み出されたものであること、そしてその背景に九郎の因縁の相手、
桜川立花の存在に行き当たる。
琴子はネットの海を通して立花と対峙し、実際に起きた鋼人七瀬事件に
対して別の可能性となる「虚構推理」を示すことでネット上での
鋼人七瀬への信憑性を薄れさせ、果ては消滅させようと試みるのだが・・・
この原作者はネットのスレッド掲示板を覗いたことがないのだろうか?
実際のスレはあんな風に理路整然と会話は成り立たないし、
予備知識なしでは絶対に分からないネットスラングに満ちている。
確かにそれをそのままアニメとして表現したら伝わらない視聴者も
出てくるだろうが、そのアングラでカオスな空気感こそがスレである。
この9話はそれまでの情報のプロット・準備期間を終え、いよいよ
物語が動き出す重要な場面だ。にもかかわらず、先に述べたような
スレ特有のリアルな空気感が全く表現できておらず只管嘘くさい。
また、琴子の構築した「虚構の推理」はミステリーの玄人でなくとも
あまりに説得力に欠ける内容で、様々な専門分野の人間がランダムに
集まる実際のスレでこんなことを言えば2,3レス目には即論破される
ような代物だ。
仮に「犯行を言い当てることがこの物語の本筋ではない」にしても、
このような稚拙な推理にネット民たちがほいほい納得してしまう様は
あまりにもご都合主義的であり、リアリティに欠ける。
タイトルが「虚構推理」なのだから、作者はこういう場面を
描きたかったのだろう。だが、売りにすべきロジックバトルが
どうにも魅力のないものになってしまっている。
琴子にしろ九郎にしろ、せっかくキャラ設定がユニークなのに、
イマイチ物語にそのキャラクター性が生かされていない・・・
というか、作者がやりたいこととキャラ設定がちぐはぐなので
各キャラクターが生きている感じがしない。
これならばより二人のキャラクターと怪異に的を絞って物語を
構築してくれた方が、より魅力のあるストーリーになったのではないかと思う。
作画や音楽は良かっただけに残念。