デルタ さんの感想・評価
4.9
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
この緻密な心理描写は芸術
本作はアニメ「響けユーフォニアム」の1,2期の続編にあたります。劇場版の誓いのフィナーレと本作を合わせて久美子たちの2年生編を描いています。
響けユーフォニアムを知らなくても1本の映画として成立していますが、主要キャラである3年生4人の人となりが分かっていたほうが面白いのでぜひアニメ視聴後に見て頂きたいです。
誓いのフィナーレではほぼ原作どおり、また絵のタッチもアニメ版と同様に描かれるのに対して、本作は絵のタッチを大幅に変更し、監督にも山田尚子監督が起用されています。原作小説と大まかなストーリー展開は同様ですが、久美子視点ではなく俯瞰したところから物語を眺めるような形になっています。
本作の魅力はなんと言っても繊細な心理描写です。京アニの絵にのせて描かれる登場人物たちの心の動きはこれでもか!というほどみずみずしくそしてリアリティを持って表現されています。
山田尚子監督の卓越した心理描写、京アニが作る絵は日本が誇る芸術作品です。どうかたくさんの人にリズと青い鳥を見ていただきたいです。
以下は完全な余談ですが、本作のBlu-rayにはキャスト陣、製作陣によるオーディオコメンタリーが計3本(キャスト陣1本,スタッフ陣2本)収録されています。昨今のアニメのオーディオコメンタリーは、キャスト陣が面白おかしく喋って終わりという形式のものも多々ありますが、本作のコメンタリーはそういったものとは異なり、どちらも本作の細かい1つ1つ演出や演技に対しての意図などを教えてくれるものになっています。それを聞いてからもう一度本作を見ると初回とはまた違った印象を受けました。本作の芸術作品として新たな楽しみ方を教えてくれた非常にいいコメンタリーだったので、リズと青い鳥をさらに知りたいという方は購入を検討してみてください。