ウェスタンガール さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
四畳半ニートは白馬の王子の夢を見るか?
大衆とマスメディアの共鳴、瘴気(しょうき)を撒き散らすマスコミが生み出す“バカ”のクラスターから“頭”を守る手段とは?
そこに在るのは、バブル崩壊、地下鉄サリン、911と続く不穏の連鎖という感染経路、ネットワークの中で増幅される猜疑心、終わりなき“人狼ゲーム”と言い換えた方が解りやすいか。
そして今、密集し、口角泡を飛ばし、濃厚接触の只中にいる我々のとるべき選択肢の一つに、アニメでも観て、頭の体操をすることを含めるのも良いかも。(ただし、体重も増える一方である)
主人公“No.9”の滝沢朗は、{netabare}セレソンと呼ばれる12人の内の一人で、絶対的な力の裏付けを与えられる代償として、救世主たらんことを求められ、{/netabare}命懸けの王様ゲームに身を投じている存在だ。
一方、行動を共にするヒロイン“森美咲”は、卒業する大学のサークル仲間も含め、ニート予備軍という設定である。
因みに、森美という名前は、神山健治監督が敬愛する森見登美彦から付けられたそうだ。
ただし、終始一貫、コメディタッチで進むストーリーは、監督の師匠である“押井守”譲りでもあろうが、キャラデザの“羽海野チカ”の個性に因るところが大きいように感じる。
“ハチミツとクローバー”の世界でのミステリーアクションというミスマッチもまた楽しいものだ。
さらに、{netabare}京都下鴨の四畳半にこもり、情報は全て信念というフィルターを通さなければ呼吸しない天才ニートも加わって、多くのキャラクターを置いてきぼりにしながらも、力業でクライマックスに雪崩れ込んでゆく。{/netabare}
ヒロインと“白馬”の王子様、恋の行方を見届けよう。
{netabare}彼らはまだ、壊れかけの回転木馬から降りることを許されていないようである。{/netabare}
全く知らずに驚いたのが、オープニングに“OASIS”とは贅沢な選曲である。それでも、エンディングの方が、ペーパークラフトアニメも手伝って好みであるが。