きつねりす さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
「男同士」にフォーカスを当てた幾原作品
やっぱり幾原作品だなーという印象の作品。
美少女漫画っぽい美形のキャラクター達、挟まれる曲のインパクト、一見ぶっ飛んだ世界観、不要な部分を省くことで浮き出てくる違和感、意味深な言葉の応酬と一筋縄では読み解けないストーリー展開・・・
「ピンドラ」、「ユリ熊」と見てきましたが、前例に漏れず「天才・幾原邦彦の頭の中」を覗き見したようなアニメでした。凡人が見てもそう簡単に理解させてくれない。そんな作品だと思います。「見る人を選ぶアニメ」というか。
今作は「男の友情」というところに主題が向けられているので、「兄妹愛」のピングドラム、名前通り「百合」のユリ熊とはまた新たな切り口で新鮮だと思います。しかし内容的には幾原監督が得意とする「同性愛」や「略奪愛」のようなものも含まれているので、やはり内容としてはカラッとした男の友情というよりは、嫉妬・同族嫌悪・愛情の裏返しといった大分ディープな感情を含んだ濃厚なものになってきている感じがあります。だからこそ作品自体の濃度が高く、面白みを感じるのですが。
これまでの例に漏れずこの作品もシリアスに終着するよう持って行きたかったんだろうと思いますが、「尻子玉を抜く」という若干ギャグっぽい設定やコミカルな描写のせいでラストも感動というより冷めてしまったような感想を持ちました。サブストーリーとして展開していた真武と玲央のラストも多少強引だったような印象。
11話という話数は平均的だと思いますが、この作品にとっては少し短かったのかな、とも思います。「これが幾原流」と言えばそれまでなんでしょうけど。