鰺鱒 さんの感想・評価
4.1
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
人間味あふれる人ならざるもの、無味乾燥な人間たち。
[2020/03/02 v1 人間味あふれる人ならざるもの、無味乾燥な人間たち。]
原作知らず。
まだアニメ視聴に慣れていないころ(2年くらい前)に観た作品。
記憶頼りな部分があるので、間違っていたらごめんなさい。
全編3DCGで描かれる、潜水艦を含んだ海戦もの(ただし、光学兵装やら重力コントロールやらが盛り沢山)。
極端に海面が上昇し、土地が少なくなった近未来。人類は「霧」と呼ばれる第二次大戦期の軍艦に似た外見を持つ艦隊群に海上を支配・封鎖され、通信も物流もままならない状況にあった。そんな中、霧から離れ独自の行動をとる潜水艦・イ401に乗り込み、霧の艦隊と戦う主人公たち、、、な感じ。
一部戦艦は、人間を理解するため(?)に人を模した姿をとり、各戦艦の意識体・メンタルモデルとしている。外見は女性。巡洋艦、戦艦と船が大きくなるほど大人な感じ(榛名が微妙か)?
イ401のメンタルモデル、イオナと主人公千早群像を舞台装置にして物語が進んでいく。人を乗せたイ401におけるイオナは、FSSのファティマ的な役割か。
3DCGは賛否両論あるだろうが、メンタルモデル含む女性陣の造形はそれなり以上なのだと思う(時期的なことも考慮)。また、「そもそも人ではい」割には表情変化があるため、メンタルモデルのほうがかえって自然な感じがした・・・そんな気がする。むしろ男性陣(すべて人間)がことごとく不気味の谷にはまっていたように思う。イ401の副官がずっとマスクをかぶっているのですが、彼以外は絶妙に微妙に感じました。
3DCGによる表現に嫌悪感を持たないのだったら、観ても損はない作品かなと思います。ただし、大きな物語や深く心を動かされるようなものではないかもしれません。僕自身は、近未来的な水上・水中戦を見て楽しむ(CGベースなだけに、結構見ごたえアリと思いました)、それなりに美麗な女性キャラを愛で楽しむ、という方向性でした。
OP/EDとも、結構好み。
―以下、少々内容にかかわるもの{netabare}
物語としての結末は、続く劇場版まで持ち越しのようです。
本作中の物語としては、メンタルモデルたちが戦いを通して自我を確立していく過程を描いたもの、と解釈しました。
その意味で、主人公に恋慕するタカオ、ヒトとの間に友情を築くハルナとそれを見守り受け入れていくキリシマ、イオナに心酔(なのかな?)するヒュウガなど、メンタルモデルたちの「心」とその変化が分かりやすく描かれていたとおもいます。
その最たるものが、メンタルモデルが心を持つことを頑なに否定するがゆえにかえって強烈な自我・心を持つに至ったコンゴウだと思います。彼女の心理的なダイナミズムは、わかりやすすぎる気もしましたが、潔かった(この感想、言葉としては正しくないのだけど、、、そんな気持ちがするのです)。
メンタルモデル同士が対話する「お茶会」が、本作の物語の主軸だったのかな、と思います。
イオナだけはよくわからなかったなぁ・・・・でも、戦闘中のイオナは見ていて面白かった。トリム角に合わせて踏ん張ってみたり、全身で「急速潜航~」してみたりと、見た目のかわいらしさはあったと思う。
引き換え、主人公はじめとする人間たちにはこれといって心理的なドラマもなく、置物・舞台装置のようにお話が進んでいきます。
{/netabare}