「虚構推理(TVアニメ動画)」

総合得点
75.5
感想・評価
576
棚に入れた
2343
ランキング
795
★★★★☆ 3.4 (576)
物語
3.3
作画
3.5
声優
3.5
音楽
3.3
キャラ
3.5

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ネタバレ

朝飯前♂ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:今観てる

虚構でもって虚構を制す、ミステリの新機軸

百鬼夜行シリーズが妖怪
物語シリーズが怪異
虚構推理は虚構、だそうです。呼び名でも言葉遊びする点は京極堂リスペクトといったところでしょうか。

(3/15 と思いきや~追記)
と思いきや主人公岩永琴子が鋼人七瀬を指して普通に怪異と言っていました。そりゃそーだ、虚構じゃちょっと変でした。早とちり、てへぺろ。

ただ今作は少々言葉遊びが過ぎて冗長的になりがちなので、{netabare}
OP シャレオツ

主人公かわいい

ED シャレオツ
上記の心構えで視聴すると良いです。 {/netabare}
製作陣には早急なるバイノーラルの導入をお勧めしたい。

7話視聴時点の感想{netabare}
第7話 鋼人攻略戦準備
一つ目一本足のおひぃ様が我々にその真の力を開放する姿を見せてくれる神回。
全人類、刮目して観よ。
{/netabare}
8話話視聴時点の感想{netabare}
第8話 虚構を紡ぐ者
8話も相変わらず主人公かわいいですね、弓原紗季の描かれ方も心なしか魅力的になってますし、最終回に向けて準備は万端といったところでしょうか。
キャラが可愛ければ演じている声優も気になるのがまた人情というもの。普段CVは気にしないのですが、作品自体の好き嫌いが激しくて、声優の好みまで考慮しだすと見れる作品が減っちゃう危険性がありますから、まぁ今回は調べてみます。えーと名前は鬼頭明里さん、ポチポチっと、、、【悲報】人気声優・鬼頭明里さん、男性とごはn、アニメキャラ以外は帰ってくれないかっ!
{/netabare}
10話話視聴時点の感想{netabare}
第10話虚構争奪
先週9話から推理パートが始まっているんですが参りました、普通に面白いです。推理を展開している絵面、原作で言えば字面でしょうか、原作未読です、こそ一見なんの衒いもなく普通の推理を展開しているように見えるのですが、推理の根拠が虚構=嘘、創作、というだけでとても新鮮な気持ちで観ていられます。こういった新鮮な気持ちが味わいたくて、新しいと評されるミステリをいくつか読んだりもしますが、打率でいえばあまり芳しくなかったりします。その点本作は視聴前の期待に十二分に答えてくれていると言えそうです。

実は推理パートが面白くなかった時の為に、主人公の容姿を褒める言葉をレビュー用にいくつか考えて用意していました。が、このままでは出番がなさそうです。ちなみに最終回では、約束の日は近い、という謎の文章で締める予定でした。

ただ難点を言えば、4つあると予告されている虚構推理の2つ目、3つ目を10話では披露しているのですが、推理が若干苦しくなっていってる様に感じます。当初の話では虚構推理を重ねるごとに、推理が成立しなくても前の推理が毒のように効いてきて~、という話でしたが、逆に成立しなかったたびに、鋼人七瀬の怪異としての存在を証明していっている様にも見受けられます。

残す虚構推理はあと一つ。はたして主人公である知恵の神、岩永琴子はこの劣勢を跳ね返す、見事な推理を展開する事が出来るのか。どんな推理であれば、作中の掲示板の視聴者、現実世界の我々視聴者が満足できるのか?根拠が虚構であればこそ、どのようにも推理できるはずなのですが、どのような推理も思いつく事が出来ません。であればすでに、作者の術中に嵌っている、と言えるのかもしれません。次回を待ちたいと思います。
{/netabare}
11話視聴時点の感想{netabare}
第11話最後の虚構
うーんやられました。ミスリードに綺麗に引っ掛かりました。
確かに、虚構を基にして解決を図るのであれば、尤もらしい嘘よりも相手が望む嘘を用意するべきだな。蛇神様相手のやり取りで一度はそう確信していた筈なんですけれども、主人公が第一~第三の虚構推理で苦しいながらも尤もらしい嘘に注力していたおかげで、すっかり尤もらしい、真実っぽい筋書きを自分でも推理してしまっていました。桜川九郎の件の能力もミスリードを誘っていますね、多少推理に粗があっても、件の力があるから大丈夫、的な。
第四の推理が始まってからも前半部分、実は七瀬かりんは生きていて、死亡したのは替え玉、鋼人七瀬は七瀬かりんがでっち上げている。という推理を聞いても、いやそれは別に思いつくけれども、だからって聴衆は納得しないんじゃないの?てな感じで神視点から物語を睥睨出来ていたのですが、そこからサイトの管理人が七瀬かりん、と繋げて聴衆を煽る、とまでは思いつきませんでした。睥睨する立場から気付かぬ内に見上げる立場に、一連の流れにミステリの醍醐味を味わわせられたと感じました。確かに元アイドルに操られつつ議論を交わしていた、と知ればそりゃ真実そっちのけで騒ぎますよね。

ところで余談なのですが、10話の感想が某所の某つぶやき群の一週間遅れで総まとめしたような内容だったのを感想を投稿した翌日に確認しまして、まさかの考察が後発なのに丸かぶり、という恥ずかしい事態にショックを受けまして、今回(探した限りでは)誰も思いついてないような考察します。

結局は件の力、そのものがミスリードであったのだと思う。
大体ミステリに限らず、すべからく物語というものは、現実世界の我々視聴者、であったり読者に評価されなくては意味がないと思う。対価が発生しない。
金銭ではなく口伝で伝わる御伽噺にしても、例えば何らかの伝えたい教訓を含んでいたりだとか、子供が早く寝てくれるようにといった、良く出来た話、面白い話でなければ意味がないだろうし、伝えようとも思わないと思う。
多少の粗があっても主人公(男)の超常力でなんとかなる、では、とりあえずはミステリにおいてはなんともならない、視聴者が納得しないからだ。
通常のミステリにおいては、例えば人物描写や登場人物の何気ない言動、背景の描写、いわゆる伏線で最後の推理に真実味を持たせたり、逆にその他の可能性を排していたりすると思う。
その辺りの伏線の張り方が上手ければ上手いほどこの作者すごいな~となるし、逆に考えれば作者が一番気を遣う点ではないかと思う。それこそ毎回思わず自分の首を掻き切る位の苦労をしているのかなーなんて思います。
となると、桜川九郎というのは作者の苦労、の暗喩なのかなーなんて思ったりするのですがいかがでしょうか。件の力と人魚の力を得て、視聴者が納得するであろう未来に向けて死んでは復活死んでは復活しながら物語の細部を完成させる、作者の苦労を一身に背負って体現する存在、それが桜川九郎。となると同じ桜川性であるところの桜川六花さんは何なんでしょうか。主にam〇zon等書籍配信サイトで良く見かける、作品の半分位で犯人がわかりました、この作品は買わないほうがいいです、的な書き込みしちゃう、ミステリばっかり何十冊、何百冊と読んだ挙句、大抵のミステリは半分位で落ちが読めるようになる異能のスキルを獲得しながら、文章力と作者への配慮が決定的に失われているモンスターファンの書き込みを見つけるたびに、作者は毎回リスカする程苦悩している、せめて自分のサイトかレビューサイトでやって欲しい、と思ってしまうのはまったくのミスリードで、正解は作者の危機管理能力、リスク管理能力、リス管→りっか、ではないかと思われます。作者もおそらく元異能戦士でしょうから、世の異能戦士はこの程度の推理で納得するかどうかと、それこそ毎回清水寺の舞台から飛び降りる位の気持ちで自らの推理にダメ出しをしている、といったところでしょうか。では自然と主人公、岩永琴子は作者の分身、と思ってしまいますが、作中でくどい位に岩永琴子は桜川九郎の好みではない、との台詞があるので、そこまでは考えないようにと念を押されている気がします。岩永琴子は通常の、視聴者目線を気にして作られ作者に使役されている名探偵、で良いと思います。物語の登場人物はすべからく作者の分身、といった真理はこの際脇に置いておこうと思います。「メールで送ってもらった件の件、言わんとしている内容が長すぎて要領を得ない、来社して口頭で説明しに来い。」なんて電話口で言われたのかな?なんて邪推してしまいましたがちょっと苦しい。通常の少し設定を凝った名探偵、で良いのではないでしょうか。とすると今作は、駄洒落を駆使した作者の分身を使役し、元異能戦士でもある作者の分身と対決するも2枚も3枚も上手ぶりを見せつけて、設定に凝りつつも結局はオーソドックスな名探偵が勝つ、という、とりあえずミステリにおいては搦め手よりも最後には王道が勝利を収める、凝るのは設定のみにすべし、という教訓を表現しているのかなーなんて思ったのですがどうでしょうか。買うには買ったものの、あまりの分厚さと事前に入手した情報から気後れしてしまって読まないままどっかにいってしまった例の小説を思い出しました。えーっと名前がたしかせいrゲーッフンゲフン。

当初はシリーズ化する予定がなかったのも説明がつきますし、一応考察として成り立っているとは思います。
(3/22 文章を多少調整){/netabare}
12話視聴時点の感想{netabare}
九郎無双、というよりは宮野真守無双の回であったと思います。
鋼人七瀬への最後の一撃や弓原紗季と岩永琴子の車中での会話なんかから12話はスタートしますが、引き込まれるのは桜川九郎が話し出してから。え、なんで?と思って1話見返してみましたが、矢張り1話時点での桜川九郎の会話には特段の魅力を感じない。録音方法が違うのでは?と予想を立てて見返しましたがそうでもなさそう。まーこの辺りは好みもあるでしょうが、繰り返し聞いて出した結論としては、ほんのちょっぴりの抑揚の差が台詞に魅力を与えている。1話時点ではその時点での話の内容通り、ほぼほぼ赤の他人の岩永琴子に対して、一聴した限りでは余所余所しさを感じさせなくも、比べて聞くと矢張り余所余所しい他人然とした喋り方であるのに対し、12話時点では共に死線を潜り抜けた相手に対して、抑揚がちょっぴり増し、感情が乗った非常に魅力的な喋り方をしている。
f/1の揺らぎを自在に操れるのか?なんて思いました。宮野真守、恐るべし。
そういやバナナ発言なんかもありましたけれども、岩永琴子はそもそも知恵の神ですから。
外見で騙されるかもしれませんが、全てに対して造詣が深い。
そんな造詣が深い岩永琴子は自然と同世代、というよりは30代40代、むしろ50代の人生の先輩なんかと話が合う訳です。
50代の人生の先輩と話す際に何を会話の内容に選ぶか?例えば政治であったり地域の行政であったりもするのでしょうが、一番話が弾むのは吉本ばななが会話の議題に挙がった時でしょう。
「キッチン」が1988年刊行、「TUGUMI」が1989年刊行ですから、刊行から優に30年余り経ち、熟しに熟しきった素人お断りの吉本ばなな論を、普段から毎日の様に近所の50代のお姉さま方達と、言葉という名の刃で斬り結んでいる訳ですよ。
そんな岩永琴子の最近のお気に入りは、矢張り寝る前の子守歌に桜川九郎に吉本ばななの本を朗読させている、と考えるのが正解でしょう。正に、水が高き所から低きに流れるがごとく自然な成り行き、と言えます。
であるからしてばなな発言というのは?「私は後で、九郎先輩のばなな」(さんの本の朗読)「を味わわせてくれれば」(今みたいに感情を籠めなさい)、となる訳です。九郎くんは勘違いしてます。
はか発言はもちろん破瓜発言じゃなくて、ハカ、でもなくて発火、だと思うのですが疲れたのでこちらは止めておきます。{/netabare}

総評
観終わった感想としては非常に小説的なアニメだな、と思いました。
一話で岩永琴子が一目惚れを告げる、そこそこの名言で物語の幕が上がり、桜川九郎による大勢が心を掴まれるであろう名言で幕が閉じる。一つの作品として完成しているなぁと思います。
{netabare}桜川六花の目的が後日談で語られるのも小説的、漫画原作だとラストバトル前にラストバトルを盛り上げるために語られそうです。読者投票を重要視する以上、後日談にそんなにページ数割ける予定組めないなんて事情もありそうだとか考えているんですがどうでしょうか。{/netabare}
漫画との違いとしては岩永琴子の表情が漫画よりはすっきりしていて、より年相応に見えると思いますので、漫画とは多少違った岩永琴子を愛でる事も出来ると思います。後は声優さんの熱演とか、耽美かつ凄惨なバトルもアニメだとまた違った趣があると思います、また良く描きこんでもいます。
良く言われる動きが少ない、ですとか、個人的には公約数的省略技術をもう少し用いてほしいなんて思う部分もありましたが、ミステリファンは全ての障害はアニメ的叙述トリックと割り切って、そうでない方は、1話視聴して岩永琴子にびびっとくれば視聴価値あり、じゃないかと思います。

投稿 : 2020/04/04
閲覧 : 347
サンキュー:

10

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