ナオ さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
面白かったです。
コミュ力に問題がある人や、コミュ力を上げすぎて疲れてしまった人が集まり居場所を作っていくお話でした。
主人公は、中学時代、女子に優しくされると勘違いしてすぐ惚れる平均的男子だったのですが、それが災いして散々黒歴史を量産するという、割と分かりやすいですけど、リアルな少年でした。
ただ、容姿の問題なのか、喋る内容なのか、想像以上に人から避けられ馬鹿にされ、まあ、普通にいじられっ子だった感じです。
その経験からか、自己評価が著しく低く、口では自分の事を大仰に嘯いてますが、自分自身が傷付く事に驚くほど抵抗を示しません。
一般の人を見下す発言をしている割に、何故か行動は終始他人の為だけに動き回ります。
人からの評価より、自分で自分を好きになれれば良いという、ある種完全に他人の評価を切り離した行動のせいで、毎回驚くべき成果をあげていくのですが、それに反比例して、他人からの評価はだだ下がりして行くという、一風変わった作風でした。
本当は友達や彼女が欲しいけど出来なかった。
それどころか、虐められ蔑まれあげく、好きな子にまで笑い者にされてきた。
そんな自分を変えられないなら、いっそ、そんな自分のまんまで人と繋がろうとする。
対比して、容姿端麗で頭脳明晰なヒロインは、重度の努力家で、その厳しい性格故か、散々同性に妬まれ、異性からは避けられるという、また違ったコミュニケーションの不備があり、もう一人のヒロインは、コミュ力がとても高い天真爛漫なリア充でありながら、人を気遣い本音が話せない。
それぞれに悩みがあるけれど、相性の悪そうな三人が、少しづつお互いを理解して、近付いていきます。
ただ、主人公の根底にあるのは、実は猜疑心です。
仲良くなって、好きになって、裏切られたらどうしよう。
もう、人を信じて辛い思いをしたくない。
それなら、最初から嫌われている方が安心出来てしまう。
たくさんの人を救っていくのに、やり方があまりに酷い方法ばかり。
自分から悪役にならないと安心出来ない。
好かれようとして嫌われるより、嫌われようとして嫌われた方が、自分に言い訳が出来てしまう。
そんな主人公が、一体これからどう変わっていくのか、はたまた変わらずに生きていくのか、本当に先の気になる作品でした。