ウェスタンガール さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
黒の本質
記憶の彼方、まだ絵の具の使い方をが下手で、色を重ねるうちに、画用紙が、パレットが、そして筆洗いの水が濁ってゆく様を、なぜか鮮明に覚えている。
好きだった先生に“汚い絵ね”と“明るく”評されたことも手伝って、絵を描くことが苦手となった。
人の心も同じであろう。ただし、それは重ねられたがゆえ、周りからは黒く見えるのであって、一つ一つの心根は、その時その時に悩みぬいた真情であり、本人には何の落ち度もないはずだ。
もちろん、当たり前のことではあるが、羽川翼と障り猫のルックス、そのギャップこそが大きな魅力であることは確かである。
そして、それが羽川本人の確信犯的な振舞いであることこそが言葉に力を与え、観る者の心に響くのである。
黒に至る色々を、あたかもレイヤーを取り去るようにさらけ出す“真っ白”な羽川の心の強さに感動するのだ。
どのような色を加えても変わらぬ輝きを放つ“黒”、一滴でも色が混じれば混濁してしまう、いや、混濁などしていない、そのように見えてしまうと言うだけ、純粋さと崇高さの象徴である“白”との対比こそ“猫物語”魅力である。
な~んてね…。
“化物語”、“シーズン2”と観てから“黒”を観てしまった訳であるが、若干のデジャブ感に苛まれてしまうことに目をつむれば、なかなか味わい深い順番のような気がしないでもない。
これは負け惜しみかな…。