ひろぞう さんの感想・評価
4.3
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
誰しも憧れてしかし究極に到達し得ない「大人の男」と「大人の女」
この作品はあのガンダムと一緒で、本放送では視聴率不振で放送回数短縮の憂き目に遭って
社長が打ち上げでスタッフへのねぎらいと共に「敗戦の弁」を述べた程だったのだが。
今はほとんどその枠がない、地上波での「再放送」で人気に火が付いた作品だった。
それまでの作品とは決定に全てが違って
主人公は善人ではない「悪党」の大泥棒のルパン三世
行動も端々が小ずるいし、行動様式が大人だった
当たり前の如くたばこふかすし、ジョニ黒飲んでエロいこと大好き。
その登場人物を見て「大人ってのはこういう物なのか」
「大人になったらこうなりたいなあ」「大人に早くなりたいなあ」と幼少期に強く思った記憶がある。
ディティールにこだわったアニメーションと言うことでも初で
ルパンの拳銃はワルサーP38、次元の愛用の腕時計はオメガのスピードマスター
そのダンディズムも子供だった私としては憧れた物だった
OPからしてスタイリッシュだった、サーチライトを浴びたルパンが駆け抜けていくシーンなんて
これは後年、あのカウボーイビバップにオマージュされていると思う。
本作が再放送で人気を得たためにパート2が制作されるのだが。
はっきり言って娯楽作品としての、エンターティメント性はあちらの方が遙かに上だと思うし
遙かに全体のまとまりがよかったために、ルパン三世の作品としての名声を不動の物としたのだが。
特に金曜ロードショーで特別編が作られるようになって
どんどんマイルドになっていく「善人」としてのルパンが、乱造されていくようになっていくと
それは本来のルパンじゃないんじゃないの?
ルパンは世紀の大泥棒なのに何にも盗まない「トレジャーハンター」はルパンの生業じゃないだろうって
私個人の中でのルパン三世象とどんどん乖離していくようになったのだが
パート4でやっと本来の私の中での「究極に到達し得ない大人の男としての」ルパン像に回帰してくれたのは、これこそ本当の喜びと言える。
ルパン像の無益すぎる不毛な論争は本作を原点とするか、パート2からとその派生作品を原点とするかで決定的に分岐してしまうのだが
それについては両展開本作を原点とするのなら本編のパート4.5ハード展開の劇場版三作を視聴し
ハート2からを原点とするのなら金曜ロードショーの特別編とカリオストロの城を見分ければいいだけのことで
お互いに不毛な中傷合戦などする必要はない、今となっては両方の作品性の物を用意してくれているのだから。
自分が理想とする「ルパン像」の作品を見ていけばいいだけで
そこに本来お互いに砂かけ合戦、泥仕合なんてする必要はないはずだ。
そういうことを含めていい年こいたおっさんになった、銭形の年なんて優に超えているだろう私でも、今でも「ルパン三世のように大人の男になりたい」と思うし、それを目指していきたい。
そしていつかは自分も「ルパン脱ぎ」ができる男になりたい 笑