Progress さんの感想・評価
4.7
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
僕らまだアンダーグラウンド - Eve MV レビュー
たまにはMVの話でも。
二つの隣り合った町、一つは人間が住む町、もう一つは廃墟のようで、怪獣のような生物が宙を舞っていて、その二つの町は大きな隔たりがあるような設定。
そんな二つの町に二人の少年少女。
廃墟に住む自分の町を生きる少年と、何の不自由もないが、フェンスの向こうの世界、アンダーグラウンドに興味を持つ少女。
この二つの町の同居する世界に違和感を感じ、そして少年たちが出会う物語になっています。
映像として美しいのは、やはり光の効果によるキラキラ感。それに相乗効果を狙うかのように、水の表現によって光の散乱で世界を輝かせています。
この作品の光は、様々な形で語ることが出来ると思います。
水などにあたる散乱、木漏れ日、電車で窓ガラスで屈折した光が座席シートに当たる表現、電飾の表現など、様々な方法で見ることが出来ます。もちろん昼夜の表現によってその光の表現はまた多彩になっていき、5分間の映像の情報量は膨らんでいきます。
そして水の表現は、水中の泡の表現に関して、反射した光によって泡が黄色や赤を含んだような絵にすることで、カラフル、かつ、泡が折り重なるようにあふれ、いくつもの泡が水流によって流れて生まれるスピード感、泡がくっついたり形を変えたりする繊細さを出すことで生まれる動画としての美しさが印象的です。
そして3つ目の構成要素となる空気感。窓を通り抜ける風の表現、停滞する空気、泡やがれき、ちりが宙を舞うことで感じる浮遊感などによって、物語上の展開に合わせて匂いのある世界を作っています。
生物のいる世界の美しさを強調するために、人が住む町、整然としている町の方は、どこか生気のない感じ(画一的、情報量は少ない)だし、アンダーグラウンドは、動植物、風の表現、そして物の多さなどで、生命感や生活感があります。
この作品の物語を深く追及する場合、少年少女二人の目線は重要だと感じました。赤髪の少年は、アンダーグラウンドの世界を常に日常として見ている目線です。黒髪の少女は、画一化された人の世界を見ず、フェンスの向こうにあるアンダーグラウンドをいつも見ているような目線、もしくは自分の住んでいる町から遠い場所を見る目線をしています。
彼らの目線が物語上で大きな意味を持たせるために、瞳の表現も光の反射や光彩の表現などが緻密で魅入ってしまう印象的な表現に出来上がっていると思います。
まとめです。
光や水の表現で、世界を美しく創り出しているところはPVとしては見所ですね。世界設定については、人間が住む町の近くに人間以外の生物がすむ町の異質感、そしてフェンスによる隔離という心理的な距離感が表現されており、曲のテーマにあるような生まれた町や境遇からの束縛をよく表していたと思います。そして物語の展開による束縛からの解放という点で、水による二人の距離が短くなる表現及び、手をつなぐなどの接触、接続が印象的な作品でした。
メモ
{netabare}
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