ひろぞう さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
なろう系の究極の真逆に位置する考えるヒロイン
シリーズ全ての総括にもなるのだが
これがシリーズの中で最も好みになるのだが
原作未見なので、化物語の最終章の猫物語とどちらがより西尾維新の原作に忠実なのかは、わからないのだが
西尾維新原作のすごみは、伏線を張って全回収できる
一見何でもないシーンでも後の物語で、重大なトリガーとして物語を回してしまうということに尽きることで
これは普通の作家にはなかなかなできないことと言える。
本作は現代アニメ作品に必要とされる要素を全てハイレベルで融合させており
たとえばブラック羽川のやけに派手な下着などは、ブラックが自分で下着を購入しに行くわけがないので
それは完全に羽川さんのお好みの物
一見地味でまじめすぎる委員長の羽川さんの一側面を表しており
これも超単純にサービスシーンの、お色気シーンを出してしまえばいいと思っている、なろう系作品とは完全に一線を画している
ストーリーの骨子としては
まじめすぎる聖人君子であろうとする、羽川さんの性分から生まれてしまう「ブラック羽川」という物に対しての、化物語の物に比べての深い掘り下げで
羽川さんは白い、その白さ故にまた内面に内包しているその陰影もまた黒くなってしまうという物で
羽川さんはとにかく知の塊、究極の知
ソクラテスの「無知の知」を知る人だから
それは羽川さんの口癖「何でもは知らないわよ、知っていることだけ」に言い表されている。
化物語では単純に羽川さんのストレスが究極に高まった時に、触り猫「ブラック羽川」が出現してしまうと言う、わりかし簡単なロジックで解決法も単純な物だったが
本編では本来の羽川さんの性分という物がもっと複雑怪奇な物として、物語を推し進めていく。
最後のシーンで実はブラック羽川と普通羽川さんは同一の物と主人公によって露見されてしまうのだが。
普通の人だったらエヴァのOPの残酷な天使のテーゼの歌詞のように
「天使になんてなれなくても私は生きる」
で土台人間なんだからそれでいいのだが
事が全て露見しても、それも容認できないのは最後のシーンでの、主人公阿良々木暦との会話でわかる。
そして最後の羽川さんの台詞
「いいわけないじゃない」で物語は完結する。
それを適当なところで折り合いを見せるのは、セカンドシーズン最初の猫物語白で、羽川さんの中でまさにバーターとして成立するのだが
とにかくブラックを含めた羽川さんの台詞や行動に
羽川さんの「思考を巡らせる」という性分がちりばめられ、それを丁寧に追っていくことを求められるので
なろう系大好きな輩の
「なにも考えず楽しめた、すかっとした」
「ヒロインがかわいい」
「お色気シーンがいい」
なんて「商品」を求めている人には絶対にお勧めできない作品と言える