ひろぞう さんの感想・評価
4.3
物語 : 5.0
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
少女のたった一つの願いとそれに対する巨大な対価
誰しも感じると思うが
作品のテーゼは「少女のたった一つの願いと、それを叶えるために支払う巨大すぎる対価」だと思う。
これは70Sヒーローから新造人間キャシャーンあたりからの
苦悩するヒーロー像と古典的作品テーマ「願いを叶えるために巨大な対価を支払う」という、ゲーテのファウストなどを組み合わせた物で
Qべぇなどはそのまま、ファウストにおけるメフィストフェレスに置き換えられる。
振り返ってきた時にジャパニメーションの中でのヒロイン像という物が
ヒーロー像が転化する中でキャシャーン、アムロ、シンジなどに
その作品の中での苦悩する物ではなかったものを
ヒロインもやはり人間として苦悩する、ジャパニメーション+他のサブカルの中で時代に取り残されていた物を
順当にジャパニメーション的に進化させた作品と言える。
その作品性+ヒロイン像の進化の足りなさが、近年における減少の一途を遂げる「少女誌」の部数減少に特に歯止めがかからない
最大部数240万部を持っていたりぼんでさえ、今や1/10以下しか、その部数を維持できていない。
一言で言って戦隊ものの要素を取り込みヒーローに依存せず自ら戦う
セーラームーン以降多様にジャンルを変化させてきた
少年誌青年誌に比べると進歩の足りなさが、そのまま部数減少に歯止めがかからない現象の元凶と言える。
確かに虚淵玄のシナリオはいつもながらの、よく言ってキレキレの
スパイスとしての「外連味」が効いているのだが
日本サブカル史を遡った時には、実は「順当進化」とも言えた。
その誰も考えつかないような着目点に、気がつくところが脚本家としての彼のすごさと言えるのだが。
そこまでにも他のアニメにも戦いの中で戦友を失い続ける物語はあった。
顕著にやるのはサンライズとのタッグでのトミノだよね
一言で言えば「ザンボット3」を魔法少女物でやっちまおうというところに、この作品と彼のすごさがあったと思う。
そして「普通の魔法少女物にしない」と彼は語っているが
確かに「普通」ではなかったのだが、魔法少女物のプラットフォームは最大限使いながら、彼なりの外連味の効いたパンチのある魔法少女物作品に仕上げた。
この作品の評価点という物は魔法少女物に対してのもう一段高見に上げた、そして裾野を広げた事にあり
後続に続く作品が「進化点」という、もう一段のステップを登れないので、どうしてもこの作品に及ばないとの印象を受けてしまう
日本のサブカル、ジャパニメーションはその強い作家性が魅力なわけで
どっかのクソなろう系アニメのような、型にはめてぱかっと作り上げてしまう、本物の「粗悪」乱造人形焼きアニメばかりを、送り出してしまっては
虎視眈々とその座を狙っている後続集団に、すぐ追い抜かれてしまう。
それを避けるためには良品は良といい、クソはクソでしかないとユーザー視聴者の取捨選択が重要と言える
制作委員会側も「売れない」作品は作らない、作れなくなる
クソ作品に対してはクソとして吐き捨てて忘却の彼方とし
「賢いユーザー」となることが肝要だと思う
賢いユーザーばかりになれば、制作委員会側として「愚かな」作品を送り出せはしない商業作品なので。
昨今の暗愚ななろう系作品過多になってしまったのはそれだけ
暗愚なユーザー「暴君+暗君」を兼ね備えている、そういう物を支持する層の拡大を意味している査証と言える。
この作中の魔法少女の願いのように価値観は世に数在れど
なろう系にあるのは、主人公のなんの迷いも考えもなく敵を消し去る、傍若無人さと独善さに身をゆだねることだけなので
そういう「衆愚」を由とする国民ばかりになってしまっては、この日本国ももうおしまいと言える。