101匹足利尊氏 さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ケイのラケバイ
異世界との交流の玄関口となり、
ファンタジー風世界絡みの貿易だけでなく犯罪も多発する都市・サンテレサ。
地球のやさぐれ刑事&異世界のキマジメ女騎士がバディとなって事件に挑む、
ライトノベル(未読)のアニメ化作品。
【物語 4.0点】
脚本、構成は原作・賀東 招二氏が自ら担当。
ラノベのアニメ化においては、
活字だと“専門用語”含めて理解できるが、映像にしたら意味不明になる、
独りよがりが懸念事項だが、氏においては杞憂。
むしろ映像で喋らせると現実にはない言い回しになる
“吹き替え時空”にまで配慮したという脚本。
リアリティよりエンタメ性を重視した“翻訳”で
移住したばかりの視聴者もサンテレサ市に巧みにナビゲート。
但しペースは黒幕との一定の決着まで描くことを
優先したそうで、飛ばし気味。
【作画 3.0点】
全体的に作画カロリー不足。そのほか能面の平行移動や物体の伸縮等も散見。
戦闘シーンでもキャラデザ村田 蓮爾氏(『LASTEXILE』など)
の絵を動かそうと奮闘するも枚数不足。
ただ構図選択には地球&異世界交流都市の混沌を再現しようというセンスはあり。
そこまで酷くはないけど、ソース不足が惜しい、勿体ない作画。
【声優 4.0点】
原作者脚本により実現した地球語&“セマーニ語”のバイリンガルなアフレコが
作品世界ならではの掛け合いを好表現。
刑事ケイ・マトバ役の津田 健次郎さん、
主任ビル・ジマー役の辻 親八さんが警察ドラマの毒気を、
ビズ・オニール役の高木 渉さんやゼラーダ役の大塚 芳忠氏が狂気を、
ベテラン勢の渋味が効いたボイスが、汚れを知らない異世界騎士様をお出迎え。
はぐらかすバディ刑事にいきり立つ騎士ティラナ役・吉岡 茉祐さんの
「ケイのアホ、バカ、ラケバイ」は、2019私の萌え殺しボイス賞にノミネート。
※因みに「ラケバイ」は“セマーニ語”でバカの意。
【音楽 4.0点】
劇伴、オーイシマサヨシさんのOP「楽園都市」共に、
適宜ジャズやクラブ成分も添加して都市の猥雑を表現。
その闇を真っ直ぐに駆け抜けるヒロインの意志を
EDのティラナ・エクセディリカのキャラソン「Connected」及び「Nonfiction」が
ロック風サウンドで貫き通す。
【キャラ 4.5点】
語尾や言い回しでキャラ立てするラノベの伝統芸。
本作ではさらに踏み込んで、捻くれハードボイルド風のブラックジョークと、
高潔なファンタジー風女騎士の真っ直ぐな言動を掛け合わせることで、
地球&異世界交流都市の縮図を象徴。
“セマーニ人”への差別的言動にらしくないストレートな怒りをぶつけるケイや、
徐々に“嘆かわしい”地球の暴言も体得していくティラナが、
社会風刺も交えたバディの絆と高度なデレ?を提供。
【感想】
板垣 伸監督×制作ミルパンセ。
私にとっては『Wake Up, Girls! 新章』の大荒れ作画が懸念材料になっていまして……。
本作には興味はありつつも、徐々に聞こえてきた作画崩壊の噂にもビビって、
リアルタイムでは飛び込むのを躊躇していました。
遅れて視聴となった私ですが、予め“受け身”が取れていたのか、
作画については、思ったよりはマシだったという感想が残りました。
むしろ、ちゃんとソースさえあれば
良い仕事をされる方々なのだろうなと確認できたので、
今後、興味がある作品を担当された際は、怯まずに視聴しようと思い直しました。
オーディションで本作ヒロイン役を射止めた吉岡 茉祐さんもまた、
私にとっては「Wake Up, Girls!」の島田 真夢役の印象が強い声優。
不可解な形で「WUG!」の活動にピリオドを打ったまゆしぃですが、
こうして『WUG!新章』のスタッフさん等も参加した本作でアフレコして、
歌声も聴かせてくれて、無事キャリアを継続されているようで一安心しました。