KAZUROCK さんの感想・評価
3.6
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
世界観は中々。騒動をほぼ終結させて纏まりも良い作品。
オリジナル?
■初回印象
キャラや背景を無機質に感じるCGはあまり好みではないけど、
この作品に関してはそれが物語の性質に良く馴染んでいて
独特の雰囲気を醸し出していたと思う。
ハイライト高めで白っぽい故に殺風景で冷たく感じられる画面作りが
推理のシャープさや犯罪の不穏さ、裏が見えないといったイメージを
視聴者にもたらしているようにも感じられた。
そうした世界観が意図されたのかどうかはともかく、
結果雰囲気も感じられて劇中に嵌り易かったのは確かだろう。
その点では演出も良い。
ただ初回を観た限りでは物語として不明な点も多く、
犯罪者を特定する特殊な方法もそのシステムの半分も理解
できなかった為に半ばファンタジーで雰囲気アニメの域を
出なかったのも事実である。
その論理をもう少し明確に示せるような件(くだり)でもあれば
もっと納得して観れただろう。
まあ初手から全てを晒す必要はないけど、
出来ればVRで再現された観念の世界?を利用した犯罪捜査システム
についてはある程度どういうものか、
その論理をちゃんと知っておきたかった気はする。
おそらくあれが今後も話の肝になるだろうしね。
あれがどういうものか分からないままよりはわかって
観る方が推理(捜査)を楽しめると言うものだ。
その点は早めに理解と納得をさせて欲しいかも。
物語に関しては上記のシステムも含め大雑把にその輪郭や先行きを
仄めかす様な構成になっていてある意味分かり易い内容だと感じた。
物語を担うであろう登場人物達もしっかり顔出ししている印象だ。
1話を観る限り今後とも {netabare}リアル側の小春とVR側の酒井戸の
両輪で犯人に迫るスタイル {/netabare}になりそうな感じ。
{netabare}その犯罪者の裏に潜む「ジョンウォーカー」を最終的に
追い詰める事こそ最大の目的にしてクライマックスになるのでは? {/netabare}
どんでん返しでもない限り、今のところはそんな風に読み取れる。
期待度★★★★
■視聴完了後の感想
個人的にIDと言うシステムに多少の不理解があり矛盾も感じていたため
最後までそれが解消されぬまま観続ける羽目にはなったものの
物語としての纏まりは素晴らしく、ジョン・ウォーカー事件の顛末を全て
明らかにして話を閉じてくれたのでとても”読後感”の良さを感じる作品だった。
伏線も全てクライマックスに近づくに従い明らかになるよう配置されていて
それも纏まりの良さに貢献したと感じている。そこに構成の上手さを感じなくもない。
ストーリー性の強い作品でこのくらい起承転結がしっかり見えたのは久しぶりだろう。
その点は素直に評価したいところだ。
とは言え肝心要のIDシステムについては先に記したように精神世界を具現化する
装置という事もあってその概念はいまいち理解しにくく、その描写もイメージ先行で
観念的な部分が多分に含まれていたため分かり良いとは言えなかった。
そもそも犯人の殺意を表す精神世界でありながらあくまで推理のツールのような
働きしかしないので理解がどうしても追いつかない。
と言って視聴者が推理に参加しやすい訳でもなかったし、犯人の心理を探ると言う
面でも今一つ。ジョン・ウォーカーと追いかけっこを繰り返したラストの件も
そこに有る世界の意味を的確に感じる事が出来ず、結果凄く適当に思えてしまった。
そういうところは製作側にやや独り善がりを感じ、そのぶんのめりにくかったとも。
そこをもっと理解できるようにしてくれたら良かったんだけどね。
まあ1クール作品としてはかなり濃い作品だったしそこまで求めるのは
無理かもしれない。
ID内外の世界観や情感を排した画風は色も抑え目で少なからず好き嫌いが出そうだが、
お話は良く出来ていて泣きどころも幾つかあるので一見の価値ありです。