STONE さんの感想・評価
3.2
物語 : 2.0
作画 : 3.0
声優 : 5.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
インパクトはあったが・・・
原作は未読。
色々な部分が分からないままで終わってしまったが。。。
かって「新世紀エヴァンゲリオン」(以後、エヴァと表記)の最終話が問題となった時、
ストーリー上の謎が不明なまま終わってしまったことに対する批判に対して、「人類補完計画
などのストーリー上の設定は舞台装置に過ぎず、作品の主題は碇 シンジの心の問題で、そこが
きちんと描かれていたので何の問題もない」といった反論があったりしたが、その論法でいくと
本作も主題はいわゆる善悪問答で、その結果が描かれていたので曲世 愛や齋 開化周辺の謎が
分からないまま終わっても問題ないということになってしまう。
ただ、エヴァはその後のシリーズ展開や当時の内情を知るとやはりストーリー上の謎などは
放り投げざるを得なかったようで、本作もアニメ制作会社、原作者、原作出版社とのやり取りを
知るとやはり途中放棄としか思えない。
締め方は別にして、導入部からの話の広げ方はかなり引き込まれるものがあったが、中盤以降の
展開はどうも雑な印象。
同じ原作者である野崎 まどの「正解するカド」でも感じたが意外性を重要視する余り、他の
プロット要素が疎かになっているように思える。
作品全体を貫く曲世が提示する善悪の問題と、齋の提唱する自殺法の肯否もうまく結びついて
いない感じ。
この2つの問題提議だが、前者はアレキサンダー・W・ウッドや正崎 善の辿り着いた回答は結構
薄い回答だし、後者は明らかにせずで、最初は「これらの問題提議が作品のテーマなのかな?」と
思っていたが、今は「作者はホラーサスペンスを書きたかっただけで、これらの問題提議は作品を
惹きつけるための単なる釣り要素だったのかな?」と思えてならない。
曲世の目的は分からずじまいだったが、案外本当に死を素晴らしいものと考えて、世の中の
意識を変えようという救世主的な意識を持っていたのかも。
キャラに関しては曲世の印象度が強烈で、それを支えるゆきの さつきの演技も素晴らしい。
ただ、それは曲世という個としての魅力で、その怪物すぎる能力のせいで作品内にうまく
収められなかった感じ。
結局、作り手側も彼女を扱いきれなくて、こんな終わり方になってしまったんじゃないかと。
彼女の能力の一つである「人を自殺させる能力」について、本人が望まずとも死んでしまう
能力は他作品でも目にすることがあるが、死そのものが快楽への衝動を生み出すという形が
なかなか面白い。
齋に関して、当初は何らかの意思を持って、曲世と行動を共にしていたのかと思っていたが、
終盤に世界中の為政者が曲世に認識を変えさせられたところを見ると、齋も犠牲者の一人
だったのかも。
他のキャラに関しては正崎を始め、曲世や齋に対峙するキャラの中には結構印象的なキャラが
いたが、そのほとんどのキャラが本領を発揮する前に死んでしまった感じ。
ストーリー上意味のある死ならそれはそれで問題ないんだけど、どうもキャラに対して、
勿体ない扱いをしている感が拭えなかった。
2020/02/09
2024/09/13 加筆・修正