takato さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
まだ「生の倦怠」が前面に出る前の押井作品。世界の押井は何故時代から離れてしまったのか?。
「生きることに飽きないことだ…」な世界の押井さん作品ですが、うる星やつらからパトレイバーなどの日本が好景気に浮かれていた時期はまだ基調として根明なテンションとユーモアが活きていて楽しく見られる。寺山的な捻りまくった台詞やモノローグもシリアスさよりシュールな可笑しさの方が強い。
本作も一般的なアニメからハミ出ちゃってる前衛演劇みたいになっちゃったりするし、謎は割と謎のままだったりする。しかし、基本みんな大好きなうる星などの有名声優ばかりが喜々として演じているから良いのう。
ただ、単に時代を経てしまったというだけでなく押井さんが時代から離れてしまったのも、その「生の倦怠」という基本テーマがもう時代錯誤になってしまったからのような気がする。なんだかんだいって日本がまだ右肩上がりだった時期に、ある程度成し遂げたオッサンの根明だったり根暗だったりトーンは変わるけど繰り返されるそれこそ繰り言みたいになってしまったのが問題ではなかろうか。生に飽きてる余裕なんてないわ!な時代が来てしまった。
もはやいま必死に生きている若者にとってはいい気なもんになってしまい、押井作品はもう90年代からギリギリ0年代が青春だったり若かった世代の多少自虐と懐古を含んだ愛着の対象になっちゃったような気がするなぁ〜。そんな事いいながら私はその世代に入らなくもないので好きですよ押井さん!。