takato さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
気楽に食べれる立ち食いそば屋かラーメン屋の味わい。あと、ラムちゃんが可愛い。
みんなが知ってるラブコメ作品の金字塔。しかし、実際見てみるとスラップスティックでナンセンスな楽しいモラトリアムな日々の長大な記録と言っていい。
膨大な話数があるが、正直どこから見てもそこそこ面白い。物凄く面白くはないが、どこからでも気楽に見れて、そこから見進める内に当たり回に出会ったりする。それにしてもあまりに長いシリーズだから見るポイントで結構画風が違ったりする。
例えるなら、あんま期待しないでも入れる立ち食いそば屋かラーメン屋の気安い安心感と思わぬ期待以上のものに出会えた時の喜びがある。
それにしても、本作はハーレム物の元祖とも呼ばれる記念碑的な作品だが、実はハーレムものではないと個人的には思う。何故なら、あたるを好きなのはラムだけで、あたるが好きなのは本当はラムだけなのがずっと見てるとわかってくるからだ。
あたるは浮気な男に見えるが、本当は男純情でラム一筋なのはいくつかのエピソードや「ビューティフルドリーマー」を見れば明らかになってくる。
あたるの浮気癖は、自分でも言っているがモラトリアムや自由の象徴のようなものなのである。ラムちゃんが大好きだが照れくさいし、なにより「責任とってっちゃ!」になってしまったら自由がなくなってしまう不安がある。故に、あたるは浮気し続け、この物語はいつまで経っても終わらないのである。
だから、本作は実は終わらない日常系作品と言えるかもしれない。ペンギン村と同じで変な奴らばかりなだけで、本当は永遠に楽しいモラトリアムを過ごし続けるワンダーランドと言えるだろう。
本作は、あたるとラムというしっかりした本筋がどっしりあって、脇のキャラ達の入れ代わり立ち代わり大暴れすることで話を動かしているといえる。
個人的にオススメの脇のキャラは、メガネ、ランちゃん、テンちゃんのママである。
メガネは、本作が押井さん作品であることを一番示しているキャラだろう。千葉繁さんという天才の才能を開花させたキャラとして歴史に残るべき逸材である。
ランちゃんは、80年代ぶりっ子キャラ風と見せ掛けて凶暴なラムを恨んでいるキャラ、と最初は見える。しかし、だんだん子供時代を回想しているうちに実は天然なラムちゃんのがよっぽど酷いのがわかってきて気の毒キャラとして味わいが深くなっていく。
テンちゃんのママの回はあまりないが、初登場の放火魔ならぬ鎮火魔な暴れっぷりは強烈だし、母の日の回は数少ない感動エピソードで思わず落涙…。