ツークツワンク さんの感想・評価
2.8
物語 : 2.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
自殺という題材を持て余した作品
自殺とは正しいのかっていう題材を取り扱った社会派サスペンス……の皮を被った自殺能力者と警察が対決する娯楽作品
日本に出来た新しい区「新域(しんいき)」が実験場として色々な法案を割と自由に可決できたりする中で自殺法を通すっていう序盤の流れは良かったかな
これだけ自殺者が絶えず、飛び降りの巻き込みで死ぬ人が出たり、週一で電車が遅延するような現代なら希望者同士で勝手に死んでくださいっていう極端な思想は嫌いじゃない
ただ自殺させる能力を持つ女マガセが登場した辺りからから話に深みを持たせることができず、単なる虐殺ショーに切り替わったのは非常に残念
自殺させるっていうことは自殺したくない人が自殺させられたということ
つまりそれって単なる殺人あるいは自殺教唆であって自殺問題とは根本が変わってしまう
序盤で飛び降りた人達も自殺させられたのかなって思うと自殺についてのテーマ自体が揺らぐ
1部で主人公の正崎が率いる日本の警察が壊滅して2部は米国首相を主人公にしてストーリーが展開されるんだけど、主人公を切り替える必要あったのかな?
話を大きくしたいのは分かるけど米国首相にしては中身や教養の無い会話に加え、首相同士で道徳の授業を始めてしまうのは頂けない
作者の頭脳を超えたキャラは生み出せないんだから、舞台装置の一つにして置くべきだったとつくづく思う
あとマガセの自殺させる能力が凶悪過ぎるのもあるんだけど、声を聞くだけで殺せるんだからもう少し警戒して変声器や筆談で会話するとか対策のやりようによっては面白くなったんじゃないかな
似た作品のデスノートはヘルメットを被ることで見ただけで殺せる能力者対策してるんだからそこら辺のツメも甘い
ひたすら救いの無いバッドエンドで終わるのは洋画みたいな感じだけど、長時間追いかける深夜アニメで見るにはいささかきつい内容
新域域長のイツキとかも投げっぱなしだし長い間観続けてこれで終わり?って感じてしまった
警察が自殺能力を持つ犯罪者と戦うだけのエンタメにしちゃったくせに変なところで純文学的な感じ出そうとしちゃったのは失敗としか言えない
続くことが正義で終わることが悪っていう答え自体は平凡ながらも悪くなかったので最後は華麗に出し抜いてマガセを倒して終わるくらいにすれば良かったのでは……