takato さんの感想・評価
4.7
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
私がオタクになった訳。人の心はままならなくて、それでも美しい。
思えば本作に出会ったのが深夜アニメにハマり、オタクになったキッカケだった…。
声優さんの名前なんて当時は知らなかったが、神谷さん、杉田さん、ミカコング先輩、大原さやかさん、藤原啓治さんとのちのち好きになる実力派の方々が揃った本作は、どちからというと渋めな作風である。
少女漫画恋愛ものにありがちな、突飛な設定でイケてる彼と急接近!的な軽いノリはない。故に、少女漫画にそんな親和性ない人も見易い仕様である。
本作の特徴として私が一番に挙げたいのは、挿入歌の多さと使い方の上手さである。
本作ではとにかく挿入歌が多い。かなりの頻度でスピッツかスガシカオの曲が多用されるのだが、その使い方が場面の余韻や抒情を引き立てるのに見事に作用している。
某元気なPが関わった作品みたいに、やたら大音響で耳にタコなほど宣伝されまくっている主題歌を流しまくるような品のない使い方は勘弁だが、本作は使い方を心得ている。
一つの場面が終わって静かにドラマが閉じる、そこに合わせて甘くも悲しい響きのバラードが流れて台詞無しでそれぞれのキャラが映されるシーンへ…。
特に真山とリカさんの場面ではこういう演出が素晴らしい効果を発揮していて、その場面の切ない美しさが何倍にも高めるわけである(夜のシーンで印象的なのが多い)。
恋愛も含めて人の心のままならなさを描いた作品では、こういう抒情溢れるシーンをいかに演出するかが重要だが、本作は挿入歌の力を合わせて印象的なシーンを幾つも産み出していてる。
本作は恋愛を描いた作品ではあるが、恋愛を無条件に手放しで肯定している作品ではない。
恋愛したってそんなに万事上手くいってハッピーなわけがない。自分の心ですら上手にコントロールできない。お互い想い合っていても上手くいかない。人生と同じで恋愛もそんな薔薇色ではなく、やりきれない切なさや悲しさから逃げられない。
しかし、だからといって恋愛には意味がないのか?。ましてや、実らなかった恋に意味があるのか?。本作のラストの解答は痛みを伴っているからこその輝きがある。
個人的には、ストーリー全体としては終盤の展開は盛り上げ+締めるために無理矢理持ってきた事態な気がしましたが、竹本君の自分探しからの真山さんとリカさんの物語の流れが最高だったので個人的には満足です。
シリーズとしては、どちからというと1期のほうが曲といい、作画といい、光っている回が多かったように思えるのでオススメです。
(追記)
ovaも視聴。おまけエピソードをアニメ化した感じですな。久々に本作の他にあまり例がないフワッとした淡い色彩と、謎スキャットなBGMを聞けて癒やされた。