蒼い✨️ さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
主人公コンビで引っ張るスタイル。
【概要】
アニメーション制作:ミルパンセ
2019年7月 - 10月に放映された全12話のTVアニメ。
原作は、ガガガ文庫(小学館)から刊行されている賀東招二によるライトノベル。
原作イラストは、村田蓮爾が担当。
監督は、板垣伸。
【あらすじ】
15年前、太平洋上に突如として未知の超空間ゲートが出現した。
ゲートの向こうに存在したのは、魔法や妖精や魔物が存在する奇妙な異世界『レト・セマーニ』
地球人と異世界人は戦争を繰り返したが、それも過去のものとなった。
カリアエナ島サンテレサ市。地球世界と異世界との玄関口に存在する、人口200万を超える都市。
地球人と異世界人、雑多な民族と多彩の文化が混在し、
一攫千金のビジネスチャンスが存在する『夢の街』
貧富の差があり、加えて麻薬、売春、武器密売など様々な犯罪が多発していた。
地球人の刑事ケイ・マトバ巡査部長と異世界人の女騎士ティラナ・エクセディリカ。
生まれも育ちも価値観も異なる二人。
彼らが出会って、サンテレサ市警察の一員としてコンビを組んで数々の犯罪に立ち向かう。
これは、ファンタジーやアクションなどの要素を含んだ、二人の刑事の物語である。
【感想】
最近は、地球人が後進国扱いする異世界の文明を啓蒙して産業革命を起こしたり、
神から貰ったチートパワーで無双する作品が多いのですが、
(それも、ストーリーや見せ方で印象が変わるので一概に否定するものでは無いです)
比べると、この作品は政治家や企業など権力や財を所有する層が行動しているものの、
主人公は一介の警察官であって、特別な能力を持たない存在です。
頼りに出来るのは本人が磨き上げた実力と経験に基づく判断力。そして、警察組織の力。
のはずですが、刑事ドラマの醍醐味の捜査と推理があっさりし過ぎてるのが少々物足りないかも。
事件が起きるには犯人が当然いるわけでして、
例えば、サスペンスドラマでは犯人役は非常に重要なキャストなのですが、
このアニメでは、その犯人がエピソードの準主役として掘り下げられるでもなく、
事件がサクサク処理されていくので、犯人との攻防を楽しむ余地が無いですね。
完璧なアリバイを作ったはずの犯人が刑事の名推理に追い詰められて狼狽して行く様子。
といった日本の刑事ドラマでおなじみの心理的な要素が存在しない一方で、
このアニメで見るべき部分は、銃と剣と魔法のアクションバトルであって、
それらのマトバとティラナの事件での活躍。他には会話で見られる人間の妙味でしょうかね?
この作品では二つの異なる人類が交差することに拠る摩擦が存在していて、
サンテレサ市では対立構造やら犯罪やらが絶えないわけなのですが、
相棒となる地球人マトバと異世界人ティラナが共にいろいろな事件に対処したり、
市に存在する差別や貧困などの現実問題に直面することで、
彼らが感じていることを話し合う行為が作品のテーマにあるのでしょうか?
現実にあるアメリカの不法移民問題やフランスのイスラム系移民の話などを見ていると、
異なる民族を平和裏に統合していくのは難しいですね。
個人と個人の関係を友誼や信頼で強固に出来たとしても、集団と集団、民族と民族はまた別の話。
民族のアイデンティティに根ざした思想や文化や宗教の違いを乗り越えるのは厳しいわけで、
異国の地で、同じ民族で固まって互助の名のもとにコミュニティを形成して、
行政単位の中に“外国”が発生するのが当たり前にあるわけでして、
国や地域ではなく、ただ同胞のために働く外国人たちの結束が存在していたり、
そこに利害関係や財産の問題などいろいろなもの加わっているわけでして、
政治に人権とか同情といった観念的なものを持ち込んだところで解決はしない。
異世界人の民族問題が根深いサンテレサ市を、作者はどう導いていくのか?に興味がありますね。
それはそうと話が変わりますが、作画に関して否定的な意見が多いアニメでもありますね。
1話目を見た時はワクワクしていたのですが、だんだんと作画が苦しくなってきたりで、
やはり、単独で1クール乗り切るのが厳しい制作環境なのかな?予算は大丈夫かな?
と心配になるわけでして。元々に板垣伸監督の制作スタイルが、
従来のジャパニメーションのスタイルを求める人たちからは不評っぽい。
ブログで読んでみたぶんには、将来的にはアニメーターの人手不足が更に進むと予想して、
作業工程の徹底したデジタル化で省力し、少人数でアニメを成立させる体制を確立させると、
実験的なことを行っているっぽいのですが、もともと動画枚数が少ないアニメですが、
更に枚数の節約のために口パクなど動く部分を画面から追い出すコンテで誤魔化すのは、
ちょっと違うだろ!と言われるのも、ごもっともなワケでして、
板垣監督も独特のコンテの切り方で、あれやこれや工夫しているのですが、
個人的にも称賛できないですね。
と、これまで褒めていないのですが、マトバとティラナのコンビの会話など好みで、
ラノベ原作なわりに社会派の観点で楽しめたので、一応はこの点数評価にしておきます。
これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。