takato さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
「間」と自然と最高なキャラたち、日常系の安易なようで困難な道のり。
「にゃんぱす~」でお馴染みな日常系の定番作品。最初はれんちょんの奇抜なキャラ設定と、ありきたり感のあるキャラ配置に出落ち系な印象だったが、見れば見るほど地力の素晴らしさにドンドン魅力される。どこから見ても面白い上に、見れば見るほど積み重ねが活きていく。
日常系を安易に考えてる作品は、とにかく出落ち設定の女の子たちがワチャワチャしてたまに百合営業を行えばいいやろ、くらいな志の低さが目立って退屈してくる。そもそも日常系とは?という根本を考えてないし、況してやそれを上手く展開するセンスもなくては日常系は成り立たない。日常系は、限られた材料を薄味で見事な料理にするような困難な道なのだ。
なにもない日常でも退屈しないようにするには、まず世界そのものが愛おしく思える美術と音楽の構築力が不可欠であり、大きなイベントがなくても飽きさせない魅力的なキャラと、彼らが組み合うことで産まれる化学反応(ギャグでも感動でも)も必要である。
本作は素晴らしいスタッフの力量と、最高の演出である配役の妙が組み合うことで見事にそれらが達成されている。なにより本作の魅力は「間」の取り方が絶妙なことである。ギャグには引き算として、世界を味わうゆったりとした瞬間として、時には切ない一瞬を切り取るように、「間」をいかに取るかだけで凡百の作品には遠く及ばない高みに本作はある。
本作にあるのは一見何にも考えてないようで隠れている深い配慮であり、力みかえってないけど実は力に満ちているという逆説のような「消力」の極意である。「余計な事を考えさせない」ためには考える必要があって、スタッフまで考えなしになっては意味がない。