takato さんの感想・評価
4.9
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
前代未聞のサーカス?スポ根アニメ。サトジュン監督の最高峰の一つ。
スポ根の全盛の70年代は、世相の影響もあって作風が暗くて自己破滅的だった。
しかし、本作は女性メインで良心的な子供向け作品を多く手掛けたサトジュン監督らしく明るく、未来に希望と可能性がが開けていく作風になっている。
かといって、スポ根の熱さもしっかり保たれている。自分の体や外面的な成功なぞより価値のある物を持つ人間は、外から見たら狂気に近い努力と根性を発揮し、人間という存在の可能性の体現者として強烈な輝きを発する。
本作のポイントは、なんといっても大原さやかさん史上最強クラスのキャラであるレイラさんである(アリシアさんもだが設定年齢若すぎ)。
お蝶夫人のイメージからだったのかもだが、最初は嫌な先輩ポジション、そっからどんどん変化し、ライバル、メンター、パートナーと色んな面が次々に見えてくる。
最初大嫌いあいつの事が、今は…な展開は少女漫画のテンプレだが、本作ではレイラの主役のソラに対する気持ちがそうなっているのが百合好きとしてはたまらぬ。
メンターなキャラは、だいたい成長しきっていて変化しないが、レイラさんは技量はともかく精神的にはソラと出会って成長するのが素晴らしい。実質ダブル主人公といってもよかろう。
ソラとレイラ、二人の異なる天才を軸に多くのキャラが出るが脇のキャラでも疎かにしないから豊か作品世界になっている。美少女やイケメンだけで世界はできていない。
物語のクライマックス、「幻の大技」の特訓に入って本作のスポ根度は頂点に達する。レイラさんは怪我と減量に苦しみ、ソラは鉄球を片手で押し返す!(このイカれ具合こそスポ根)。
もう冷静に考えればリアリティー皆無なイカれた事態だが、ここまでの盛り上げとキャラの魅力でツッコミなんて打ち消されてしまう。
なにより、この場面でも二人なのがポイントだ。かつてのスポ根主人公は根本的に孤独だった。思い込んだら~な想いを一人で突き詰めすぎて自滅していったところがあった。
しかし、本作ではベタベタしないが支えあい、尊敬しあっている二人で努力している。しかも、二人が絆が熱くなるほど百合好きな人間としては嬉しい相乗効果!。
そして、ここでリアリティーがどうとかなんて野暮天!なメンタリティーに持ってかれるからこそラストの「幻の大技」が輝く。
しかし、犠牲無しに成功は望めなかった。この辺まではかつてのスポ根と同じだろう。だが、ここでも二人の物語だからこそアニメ史上に残るレイラさんの名言で見事に明るく絞められる。ラストの切れ味の鮮やかさは2期も最高である。
レイラ「ソラ、私のダンゴムシになってよ…。」(カレイドスターラジオより抜粋)