ウェスタンガール さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
バブル世代へのアンチテーゼ
『就職氷河期世代支援プログラム』なる免罪符的政策や、京大吉田寮の立退き問題が、ときにニュースを賑わす昨今、何の因果か“四畳半神話大系”に目が行った、というか、行かされたというのが正確か。
情けない話ではあるが、「世代的には」と言い訳をするのであるが、森見登美彦に興味を持ったことも読んだこともない。
ウィキで調べるに、彼は1979年生まれで、バブルが終焉を迎え、オウム真理教が暴れだし、エヴァンゲリオンに代表される、世をすねたサブカルチャーの黎明期に学生時代を過ごしたことになる。
この神話大系からは、語り手である“私”が、四畳半から眺める世界への違和感、すなわち、世渡り上手で見栄っ張りなバブル世代に反発する、どこまでも鬱屈した真情が読み取れる。
ただし、そこにはアジ看板や演説、ゲバ棒を振り回す全学連は存在しない。モラトリアムを享受する空気という意味では共通点があるかもしれないが、いたって平和な世界である。
観光公害で、京都の街も変わりつつある。
万一、青春の骨拾いをするなら、今のうちに済ますべきだ。
残り時間は少ない。 (2020.1.25)
永遠に続く饗宴などありはしない。
それは狂宴に姿を変え、一夜にして悪夢と化すのである。
{netabare}病室で目覚めた“小津”が、{/netabare}
鉛の如きまぶたを押し上げて見た世界。
チャイナに媚び、荒れ果てた街角を徘徊するわずかなマスクマン。
{netabare}ラビリンスからはい出し、能天気にはしゃぐ“私”。{/netabare}
彼の目にはどのように映っているのだろうか。
(2020.5.26)