たわし(爆豪) さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
「正気」と「狂気」の彼岸
DCコミックスの大人気長寿シリーズ「バットマン」に出てくる宿敵ジョーカーは、「人間というのは本来独りよがりの「悪」であって、「善」というのは単なる損得勘定に過ぎず、自分の足場を取られれば簡単に悪へと落ちる。」という信条で動いており、故に「人に悪を犯させる悪魔」としてキリスト教ならではの解釈で描かれる。
今回の「メイドインアビス」では、そんなジョーカー的な「ボンドルド」と言うキャラクターが、人の心の中に潜む「侮蔑」や「差別意識」、「無関心」などといった非人道的な立場によって、見ているものを奈落の底へと引きずり落とす。。。
舞台となるアビス(深淵)の第五層と呼ばれる場所はかつて、ナチスドイツが第二次世界大戦で戦争捕虜やユダヤ人を収容した収容所がモデルであり、ホロコーストによく似た施設が出てくる。要は「人体実験」である。
人は人を殺さないとは限らない。自分とは異なる者に対してはとことん残酷であるのが人間であり、「ボンドルド」はそういう意味での人間の「負」の部分を。。「本性」をさらけ出しているに過ぎないのです。
本作はアニメ映画の中では非常にエキセントリックでニヒリスティックで残酷な作品ですが、もう一度その意味を考えてみましょう。。
果たしてそれが本当にフィクションだったのかを。。。。