「BEASTARS(TVアニメ動画)」

総合得点
77.7
感想・評価
356
棚に入れた
1550
ランキング
602
★★★★☆ 3.8 (356)
物語
3.8
作画
3.9
声優
3.8
音楽
3.7
キャラ
3.8

U-NEXTとは?(31日間無料トライアル)

ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.5 作画 : 3.5 声優 : 4.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

本能と理性との葛藤

 原作は未読。
 動物を擬人化した作品というのは国内外問わず、多くの作品があるが、中にはキャラクター
デザインが動物になっただけで、中身はただの人間ドラマと変わらないものもあったり。
 それに対して本作は動物の本能的部分にかなり着目しており、この本能によって生じる内部、
及び外部での問題が興味深いところ。
 内部の問題は本能と理性、及び感情がぶつかることによる葛藤などで、主役であるレゴシの
捕食本能と恋愛感情の同居などがその最たるもの。この二つの要素は相反するようでありつつ、
捕食本能により引き起こされた恋愛感情かもしれないのが面白いところ。

 外部の問題は肉食、草食動物が同じ社会を営むために本能を押し殺すように作られた
社会環境や、それによって生じた歪みの部分などで、この動物社会の設定はなかなか細かい
部分まで考えられている。
 そういう点では単なる擬人化だけではなく、「人間のいない世界で、動物達が文明社会を
築いたら?」という一種の思考実験をしているようにも思える。
 こういった部分はやはり「人間のいない世界で、亜人が文明社会を築いたら?」という
コンセプトを持っていた「セントールの悩み」に通じるものがある。
 いずれの作品も種族の違いによる問題などが、現実社会の人種・宗教・国籍・貧富・階級などの
違いによって生じる問題点や、それを解消するための行きすぎた感のあるポリティカル・
コレクトネスを風刺しているような面も。
 草食動物の方が捕食される側である弱者ゆえに逆に社会的には強い力を持ち、肉食動物が
配慮するあまりに小さくなっていたりするが、これなどは現実社会におけるかって被差別、
マイノリティだったりした側の現在の状況を思わせるものがあったり。

 キャラクターの組み立てもかなり良い。
 主役格のレゴシと先輩であるルイに関して、肉食と草食と異なる出自により生じる考え方
などは対立的なものだが、結果として自身のコンプレックスにより無理した生き方をしている
ようなところが同じなのが興味深いところ。

 ハル、ジュノといったヒロインも魅力的で、個人的にはケモナー的趣味はなかったりするが、
それでもエロく感じてしまう。
 もっともいずれも単に可愛い存在で終わらないところがまた魅力に輪を掛けている感じで、
いずれも自身の行動や思考が前向きだったりと頼もしさも感じたり。
 ジュノの行動や思考はよく現実社会で使う言葉としての「肉食動物」で笑ってしまう。
 自分も男であるがゆえに他作品によくある男に都合の良いようなヒロインも一種の理想的存在と
して見ていて楽しいものがあるが、ドラマとしての面白さ、人間的魅力は本作のような
ヒロイン達の方。

 レゴシ、ハル、ジュノの三角関係の行方、ルイの安否、食殺事件の犯人など、ストーリー的に
気になるところが多々のまま終わってしまったので、2期の発表はありがたいところ。
 映像的には画面分割により複数キャラを描いていったり、匂いや体内の感覚を映像化して
視覚的に分かるようにした演出が印象的だった。

2020/01/13
2024/09/28 加筆・修正

投稿 : 2024/09/28
閲覧 : 218
サンキュー:

4

BEASTARSのレビュー・感想/評価は、ユーザーの主観的なご意見・ご感想です。 あくまでも一つの参考としてご活用ください。 詳しくはこちら
BEASTARSのレビュー・感想/評価に関する疑問点、ご質問などがございましたら こちらのフォーム よりお問い合わせください。

STONEが他の作品に書いているレビューも読んでみよう

ページの先頭へ