かがみ さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
決断主義からポスト・決断主義へ
周知の通り本作は「とある魔術の禁書目録」のスピンオフである。ゼロ年代のサブカルチャー文化圏の潮流の中でいえば「禁書」がいわば典型的な「サヴァイブ系」などの決断主義的想像力をベースにしているのに対して、本作は禁書の世界観を引き継ぎつつも、そこに「日常系」に象徴されるポスト・決断主義的想像力を導入している。
本作のメイン4人組、御坂美琴、白井黒子と初春飾利、佐天涙子の間にはエリート/ノンエリートの断絶があり、また黒子と初春と美琴、佐天の間にも風紀委員/一般人の断絶がある。本作はこうした異質な他者間における関係性のあり方を、いかにも禁書的な決断主義者である木山春生との対比でより鮮烈に際立たせている。
本作が本家禁書を凌駕する人気を誇るのは、「サヴァイブ系」への批判力としての「日常系」の台頭というゼロ年代サブカルチャー文化圏の潮流を物語レベルで内在化させる事に成功したからなのだろう。