無毒蠍 さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
その花が渇望するのは「死」 もたらすのは「生」
とてもタイトルとのギャップがある作品。
序盤のギャグテイストの進行はタイトル通りの雰囲気ですが、
中盤からこの作品、本当の見所が徐々にあきらかになっていきます。
序盤の陽気な雰囲気とは一転して大変重々しかったですね。
今回はバトルというより試練というかたちで各々のキャラが活躍していきます、
第一の試練は「金魚すくい」
対戦相手はムチゴロウという男です。
地獄の試練と言われておびえていたウソップも「金魚すくい」ときいて俄然やる気にw
ところが、この「金魚すくい」ですくう金魚は海王類なみの大きさ!ちなみにムチゴロウのペットらしい。
ここらへんはまだ笑いに満ちあふれていましたね。
最終的には一味のチームワークでクリアしました。
第二の試練は「輪投げ」
対戦相手はカエルを模した爺さんたち、
チーム戦でナミ&ウソップ、ゾロ&サンジに別れて対戦しました。
この対戦も序盤は笑いがあふれてました、ゾロが船を飛び移りダッシュで戻ってくるのが何気に好き(笑)
しかし後半になるにつれチームワークもバラバラ、仲間割れ状態、しかもそれが結構シリアス気味。
ナミ&ウソップは相手の策略で船から火があがってしまうのですが、
思わぬ苦戦にここでお互いに用意されているお助けアイテムを使います、
ナミ側に用意されていたのはペアのマグカップらしきもので、
文句をいいながらもせっせとカップで水をくみ消火作業にあたっていました。
ウソップに用意されていたのは飛行装備一式、しかもこれが箱をあけると自動で作動するみたいで、
ウソップは一人お空の彼方へとんでいってしまうんですよw
最終的にはウソップのおかげで勝利することができるのですが、
これが原因でウソップはナミに裏切って逃げたと思われてしまいます、
試合後にナミがビンタして裏切ったわね!みたいなことを言えば、
ウソップも裏切り?それはお前の十八番だろ!などと言い返します、
ゾロ&サンジも日頃のやりとりがエスカレートした感じになり収集がつかなくなりました。
仲間割れというのは麦わら一味ではありえないといってもいいほどの事なので、
非常に重々しく感じました。
まだ罵り合っているほうがマシですね、無視は辛いよ。
その後は少し試練はお休みして晩餐の時間。
サンジが試練関係なしの料理対決で勝利しますが、
ゾロに対して寝てて応援しなかったやつには食わさねぇ、などと厳しいお言葉。
ゾロはそれに対して「しつけぇやつ」と言っていたのですが、
ゾロのほうはそんなに気にしてる感じでもないのかな?
まぁ確かに第二の試練で被害をうけたのはサンジでしたからね、
ウソップもナミと積極的に距離を縮めようとしてましたが効果なし、
そう考えると気持ちに変化がおきたのは主にナミ&サンジのみなのかもしれない、
ゾロ&ウソップはそんな二人の態度にイライラしちゃうという印象。
そんな事をやっている間にもチョッパー&ロビンは敵にさらわれてしまいます。
第三の試練は「射的」
このときには何かが変だと気づいているのでゾロもサンジも試練なんてやってられるかと、
仲間を探しにいっちゃいます、バラバラになった仲間はなすすべもなく捕まってしまうんですよね。
ルフィは一人オマツリ男爵に挑みますが、
このオマツリ男爵、ふざけた容姿とは裏腹に非常に強いと思います。
弓矢を使うのですが、その矢が追尾してきて威力も凄まじい。
そもそもこの「オマツリ男爵と秘密の島」の最大の謎は、
オマツリ男爵以外全員が死者だったということでしょう。
オマツリ男爵も元はレッドアローズ海賊団の船長で仲間に慕われる良き船長だったみたいです。
20年以上前にゴールド・ロジャーに会ったことがあるらしく、その直後の嵐で仲間を失ってしまいます。
その後オマツリ島に流れ着いた男爵はリリー・カーネーションという魔の花に出会い、
島に人を呼び寄せては生贄にし仲間を復活させていたんです。
仲間にみせる顔とルフィたちにみせる顔が全然違うんですよね、
男爵は仲間のためを思って手を汚しているようにも思えましたが、
実は男爵が仲間のいない孤独に耐えられなかっただけのようにも思えましたね。
男爵は仲間割れするやつらをみるのが大好きのようです、
それはつまり、仲間を失っていくやつらをみて、
自分には信頼できる仲間がいるということを再確認して安心していたんじゃないかな。
仲間を生かし続けるために定期的に生贄を用意する男爵はやっぱり孤独だよね。
しかし同じ孤独なら仲間のいる孤独のほうがいいということなのかな…
それほどまでに孤独とは抗いがたいものなんでしょう。
最終的には麦わら一味以外の仲間の協力で男爵を撃破、
男爵を呪縛、本当の意味での孤独から開放してあげました。
最後のカットでタンポポっぽい花が咲いていたのですが、
何なんだろうね、あんな場所に咲いているのは不自然だよ。
それにあの後男爵がどうなったのかも描写されてないし…
やっぱり男爵があのタンポポになっちゃったのかな。
男爵も実は死んでいてリリーの寄生によって生きながらえていたとか?
そういえば終盤の男爵の顔は死臭漂う醜悪な顔をしていましたね。
タンポポの花言葉は「別離・別れ」「真心の愛」「思わせぶり」などがあるみたいです。
この作品をストレートに表現しているのが最後のタンポポだったのかな。
【A+85点】