「天地無用!真夏のイヴ(アニメ映画)」

総合得点
63.9
感想・評価
36
棚に入れた
202
ランキング
4091
★★★★☆ 3.5 (36)
物語
3.4
作画
3.5
声優
3.7
音楽
3.6
キャラ
3.5

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ネタバレ

無毒蠍 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

天地無用シリーズの劇場版の中では、 短いし地味かもしれないがそれでも私はこの作品が好きです。

私はこの作品をOVA版の設定で劇場化したものだと思っていたのですがちょっと違うみたいですね。
OVAに清音は登場していませんでしたが真夏のイブには清音がいました。

しかしTVアニメ版ともちょっと違う気がします…
OVA版をベースにしたパラレルワールドという印象ですね。

真夏のイブでは天地の娘を自称する女の子、
麻由華の出現によって天地ファミリーが乱されていきます。
嫉妬したり天地を心配したり色々な感情が垣間見えました、
特に魎呼はすごく不安定になっていました。

麻由華をお空につれてって、そこから落としましたからねw
麻由華が気がつくと杉の木の頂上でしたが、
あれは麻由華の力で杉の木にワープしたのか、
魎呼が落下中の麻由華を拾って杉の木に放置してきたのかどっちなんでしょう…。

事の発端は闇の世界の住人であるユズハ。
彼女は幼いころ樹雷のお祭り「スターティカ」で天地のおじいちゃんでもある遥照と出会うのですが、
二人でいるところに樹雷の兵があらわれユズハを攻撃します。

まぁ兵も樹雷の民と遥照を守ろうとしての行動だったし、
ユズハが悪さをしてたのは事実だし同情はできないね。
ただあのまま遥照とユズハが一緒の時間を共有することでユズハも変わったんじゃないか?
と思うと悲しいです。

私はユズハがこの時の出来事を怨んで今回の事件に発展したとは思えないんですよ、
本当にこのときの事を怨んでいたらもっと早くに復讐を実行しているでしょう。
遥照をみつけたのだって偶然だし彼女はもっと別の理由で行動していたように思える。
単純に寂しかっただけのようにも思えるし、
羨ましかったり嫉妬だったりそんな人間らしい理由だったんじゃないかなぁ。

遥照をみつけたユズハは天地の遺伝子と自分の遺伝子で麻由華という存在を生み出すんですよね。
目的は天地ファミリーをバラバラにして天地を奪い去ることかな。
天地を殺すんじゃなく連れ去ろうとしてたというのも、
ユズハの心情を探るうえで重要なポイントかもしれない。

麻由華はユズハのことを把握しておらず本当に自分は天地の娘だと思っているわけだし
恐怖しかなかっただろう。
天地の奪取に失敗し、
天地ファミリーにも馴染みはじめている麻由華をみていて面白くなかったユズハは、
麻由華の精神を完全に支配して砂沙美をつれさってしまいます。

ユズハのテリトリーに天地と魎呼の二人だけで乗り込むのですが、
ユズハの領域じゃ天地の樹雷の力も使えず、ほぼ魎呼だけで戦っていました。

終盤では麻由華も砂沙美の呼びかけに反応し自我をとりもどします。
皆がいない「スターティカ」より皆がいる「クリスマス」のほうがいい、
麻由華は良くも悪くも幼く素直なんですよね。
魎呼が麻由華はもう一人のユズハと言っていましたが、
もしかしたらユズハの本音の部分が麻由華という存在になったのかもしれませんね。

そして創造主であるユズハの逆鱗に触れ麻由華は消滅させられ、
残ったのは核となっていた宝石のみ…。

ユズハも本気をだし絶体絶命というところで天地に樹雷の力が…
これは阿重霞の活躍によるものですね。
最後は天地の力で一刀両断!

ですがユズハが天地の攻撃を自ら受け入れたようにも思えて何とも言えない切ない最後でした。

これで元の生活に戻って万々歳!
のはずなんですが麻由華のいなくなった天地ファミリーにいつものにぎやかさはありませんでした。
麻由華と一番激しくやりあっていた魎呼ですらね。

そこに鷲羽がやってきて麻由華の宝石を持ちながら言いました。
大事なことだから一度しか言わない…「どうする?」と。
一人でも望まなければやらないと…。
何を?と今さら問うのは野暮というものでしょう。

「会いたいな…もう一度」

このセリフは魎呼の言ったものですが気持ちは全員同じでしょう^^

「で、あんたどうする?」

このセリフは鷲羽が麻由華の宝石に言ったものです、
そしてそのままED…。
一人でも望まなければやらないというのは麻由華の気持ちもふくまれていたのかな?
切なくも綺麗な終わり方でしたよ。

スタッフロールでは麻由華が再生され赤ちゃんとして再び生を受ける、
そんな後日談的な絵が表示されていました。
天地ファミリーにあやされる麻由華…。
麻由華の出現によりかき乱されていた天地ファミリーですが、
結果的により一層まとまりが強くなったのではないだろうか。
麻由華がもう一人のユズハだとしたらユズハも麻由華の中で生き続けていく事でしょう。

そしてED曲がすばらしい!
永井真理子さんの「真夏のイブ」

この曲がこの作品の哀愁や余韻に拍車をかけてくれます。

90年代っていいですよね、
近年じゃこういう作品は全然みなくなりました。

古い作品ですし粗さもありますがノスタルジーを感じるいい作品だと思います。

【A82点】

投稿 : 2012/03/12
閲覧 : 396
サンキュー:

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