退会済のユーザー さんの感想・評価
4.4
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
こころにそっとしまっておきたい小品
夏目友人帳の緑川ゆきさんが描いた短編が原作みたいですが、未読です。
この作品も、夏目友人帳と同じスタッフが担当していて、雰囲気はよく似ています。
子供の頃、夏休みに親類の家に泊まりに行って、そこの近所の子と遊んだことを思い出しました。
一緒にラジオ体操に行ったり、川に釣りに連れてってもらったり、お祭りを見に行ったり・・
私より2つ上の、優しくて面倒見がいい男の子でした。
でも、大きくなるにつれて、向こうは男の子なこともあって、いつのまにか泊まりに行っても遊ばなくなりました。
この物語の主人公、6歳の蛍は、夏休みに祖父の家の近くの森で迷子になり、泣いていたところを狐の面をつけた銀髪の少年、ギンと出会います。
それから毎年夏休みに蛍はギンと逢うようになります。
毎年大きくなっていく蛍。でもギンは6歳の頃に出会った姿のまま・・
いつしか蛍はギンに恋心を抱くようになります。
もっとギンに会いたい、ギンに触れたい・・
でも蛍はギンに触れることはできません。
人間に触れられてしまったら、ギンは消えてしまうからです。
このままだと蛍はギンの年を越してしまうのでしょう。
蛍が高1の夏、ギンは自分のことを初めて話して、忘れてしまっていいんだよと蛍に言います。
でも蛍は忘れることなんかできない、いつの日か時間が二人を分かつでしょうと返します。
妖怪たちのお祭りの夜。お面越しのキス。そして・・
この作品は私のこころの中にあった大切な想い出を呼びおこしてくれました。
そしてすごくこころの奥に刺さってしまい、ぼろぼろ泣いてしまいました。
昔、私と遊んでくれた男の子に会うことはもうありません。
その子の年を私はとっくに追い越してしまいましたから。
「蛍火の杜へ」は、私にとってとても大切な、こころにそっとしまっておきたい作品になりました。