rie-ru.2 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
喪失と共感で繋がっていく
独特の世界観を持つ訳でもなく、知略尽くした駆け引きもない。
派手な戦いも劇的な展開もない。
出会い、不和、喪失、そうした人と共にある以上起きることを、
剣と魔法のファンタジーを舞台に映しただけの作品…しかし。
その人間関係の描き方が非常にいい。
一人の才覚によって導かれる集団は、それを失ったとき脆さを曝け出す。
既に構築された関係に新たな者を迎えたなら、どう接するべきか。
そして、仲間から受け継いだ役割をどう果たすのか。
こうしたことに直面した主人公が、不器用ながら気づき学んでいく。
どれも簡単には片付かない問題だが、なんとかしようと悩み続けるからこそ、
細やかな感情の交流を通して仲間たちの連帯が出来ていく。
そして喪失すらも共有して、新たにまた歩み始める。
…当たり前のことでも丁寧に描けば魅力たり得るという一例だと思う。
とても地味だけれども、こうしたいい意味で湿り気の有る
人間模様をテーマとした作品は好きです。
好みも加えてこの評価で。