Progress さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません レビュー
レビューを書く前に強く感じていたことは、
ルッツの存在が物語を面白くしてくれていたことだと思います。
#introduction(公式サイトより引用)
目覚めると、そこは本のない異世界だった――
活字中毒で本を偏愛する大学生・本須麗乃は、不慮の事故で命を落とす。それは、念願である図書館への就職が決まってすぐのことだった。
気が付くと麗乃は、貧しい兵士の娘・マインとして転生していた。
そこは、魔法を持つ貴族が支配し、厳しい身分制度が存在する異世界の街・エーレンフェスト。
マインは、本があれば生きていけると自分を鼓舞する。
ところが、識字率が低く印刷技術もないこの世界では、貴重で高価な本はお貴族さまのもの。
兵士の娘では、とても手が届かない。
どうしても本が読みたいマインは決意する。
「本がなければ作ればいい」
体力もない。お金もない。あるのは麗乃時代に読み漁った読書による膨大な知識だけ。
果たして、マインは本を作ることができるのか!?
マインの本を作る冒険が、いま始まる。
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さて、まず作品の第一印象はどうだったでしょうか。
最近、異世界転生物も女性の主人公が増えましたね。
キャラクターデザイン的には、女性らしさよりも、可愛らしさのほうが強く出ているように思えます。
話の導入は事故で転生という、異世界転生にありがちで、そこは物語の評価ポイントには入らず、その後の物語の展開でどう評価するか、という作品でした。
1章-3章
まずは転生から始まり、転生した世界を知るところから始まります。家の中に本がない環境から、街に出かけ、本が貴重である事を知る。この時点ではマインの本に対しての執着に対して、本が手に触れられない遠い場所にあるという基本的な状況が説明されます。
マインはまず、本がないなら自分で本を作ろうとします。しかし、転生した体が病弱で、行動することが困難でした。しかしあきらめず、ルッツと知り合い、本づくりの手助け役を得ます。
マインは特殊な能力などはこの時はなく、手作りでパピルスなどを作ろうとしますよね。つまり、現代の知識で、文明レベルが低い場所で、道具もない中で作る段階です。
物作りを行う上での試行錯誤の面白さを描いている事が、この序盤の面白さだと思います。
4章-6章
マインの本づくり、物づくりは加速していきます。トゥーリの洗礼式用の髪飾りを作ったりと、裁縫の知識もあるようです。5章ではオットーさんの手伝いで書類手伝いをするようになり、6章では、重要人物、マインの作るものに興味を示す商人のベンノさんと出会います。
この区間で面白いのは、マインの物づくりの過程と、マインに付き添って本づくりを手伝ってくれるルッツの優しさや人柄の良さです。そして外の人間と繋がることで、新たな展開を膨らませていきます。
7章-8章
この区間では、ベンノの協力を得て、本もどきを作るのではなく、「紙」を作っていくことになります。
ベンノという商人と交流することで、商人として渡り歩くマイン、もしくは見た目や歳に対して不相応な大人とのやり取りをするマインが魅力になっていきます。
そういった、大人びた対応や、知りすぎている知識に対して、不信感を抱くルッツを描き、ルッツとマインの信頼関係の揺らぎを描いています。それがまた、ルッツの人格の良さを深堀する形になっており、魅力的な話でした。
9章-11章
マインの熱の病気に関する話が発展していきます。
商業ギルド長の娘、フリーダに出会い、彼女の商人気質に面くらいながらも交流を深め、かつベンノに取引の甘さで起こられるようなコミカルな話が進みます。
熱に侵されいよいよ駄目かというくらいに倒れるマイン。その後、フリーダもマインと同じ病を発症している事を知り、今後の未来を苦しい選択するマインの悲運が描かれていましたね。
12章-14章
マインは洗礼式を迎え、神殿の中に入ることになります。そして神殿の図書室を見つけ、巫女になることを選びます。
ここからモノ作りや、商人として活躍していたマインが、神殿という未知の世界に触れていくことになります。
この区間で面白いのは、マインが住む国を支配する貴族の事情、貴族や貧民が入り混じる神殿の実情と、神殿の人間と駆け引きをするマインです。話が徐々に外へ広がっていき、新しい展開を見せ始めています。
特に、14章では神殿の内情や、マインに秘める魔法という力が大きく見せられていきます。
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さていかがだったでしょうか。
「本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません」。
全体を振り返って、私的なポイントは3つ。
・モノづくり的面白さ
・商人的な駆け引きの面白さ、あるいは商人の世界の面白さ
・マインの一番近くにいるルッツという友人の面白さ
さらに、家族との絆、というのも、作品が持つ温かみを創っていると思います。物語中に助け合い笑いあう家族を描き、中盤でマインが死か生か選ぶ際に、マインが親(ギュンター達)とともに生き死を選ぶことに違和感がなくなっています。しかし元々はマインの中身である本須麗乃はその親が本当の親ではないはずです。それでも親と過ごすことを決めたマインの親への愛情は尊いように感じました。
というところ、でしょうかね!神殿編の面白さである、魔法や政治は、これから二期があるでしょうから、そちらにさらに期待することにします。