「リトルウィッチアカデミア(TVアニメ動画)」

総合得点
83.1
感想・評価
718
棚に入れた
3337
ランキング
335
★★★★☆ 3.9 (718)
物語
3.9
作画
4.0
声優
3.9
音楽
3.8
キャラ
3.9

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ネタバレ

ちゃんもり さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

魔法ファンタジーとはこの作品のことだ。

アニメのレビューを本格的に書くのは
2016年放送の「Re:ゼロから始める異世界生活」以来となる。
本当に久々だ。
昨今は仕事に忙殺される中、なかなかレビュー寄稿は出来ていなかった。

この4年間、幾つか心に遺る作品はあったものの、
別段私がどこかにアニメ批評を寄せたところで原稿料が貰える訳でも
何でもなく、只管時間の浪費に等しい行為である。
しかし、これまで数多くの作品に触れてきた一アニメファンとしては、
これからアニメーションに興味を示す人たちに向けて
「ぜひとも私が感じた感動を味わってみてほしい」
という、ひどく一方的で厚かましく、上から目線な感情で
語りたくなる作品というものも確かに存在する。

本作品「リトルウィッチアカデミア」も、ここ数年間の中でも
最高傑作に近い王道ファンタジーアニメとして、
誰かと感動を共有したくなる作品のひとつである。

本作品は2013年に若手アニメーター育成プロジェクト「アニメミライ2013」の
参加作品として世に出た瞬間から世界中で高評価を得た後、
新進気鋭の製作会社「Trigger」がクラウドファンディングに成功、
2015年に劇場版「リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード」が製作、
上映された。
この時点でアニメファンの間ではかなり有名な作品となり、テレビアニメ版の
製作が今か今かと待たれていたのである。
そして満を持して2017年、ついにテレビアニメ版「リトルウィッチアカデミア」が放映開始された。当時、勿論私もオンタイムで放送を拝見したし、
毎週感想サイトなどもチェックしていた。
放送当初こそ、主人公「アッコ」の無計画で猪突猛進なキャラクターに
賛否両論あったものの、2クールかけて成長するアッコやまわりのキャラクター、
壮大かつ緻密な世界観に引き込まれ、最終話、25話ではtwitter等のSNSでも
異様な盛り上がりを見せていた。
「名作」に数えられる作品はほぼ例外なく、ネット上に異常なほどの「熱」を
生み出す。本作品最終話が生み出した「熱」もそれはもう凄まじいものだった。
実にリアルタイム視聴から3年経った今更レビュー寄稿している私が
その熱をハッキリ覚えているくらいなのだから、これは相当なものだろう。

さて、前置きが大変長くなってしまった。
実際にこの作品がどんなお話なのかというと、
「カガリアツコ」という女の子が海外の魔法学院「ルーナノヴァ」に
入学し,世界中に夢を届ける魔法使いを目指して日々奮闘するお話である。

「魔法」というコンテンツは今や、ストーリーメイキングに於いて
「お箸でご飯を食べる」レベルに珍しくも何ともないお約束だ。
事実、「魔法」に焦点を当てたファンタジー作品は数多く存在するし、
その捉え方も作品ごとに様々である。
しかし、本作品ほど「魔法」という言葉そのものに真摯に向き合い、
真っ向勝負している作品はなかなかお目にかかれないのではないか。
あのハリーポッターシリーズでさえ、「魔法」はストーリー上の
小道具に過ぎないと感じる。

「信じる心が、あなたの魔法よ」
一見、耳触りが良いだけのキャッチフレーズにしか聞こえない
このセリフの本当の意味が分かった時、視聴者は得も言われぬ幸福感と
感動に包まれる。そしてその感動は、アッコとともに25話を過ごし、
その成長を見届けた者だけが享受できるのである。

「魔法」という簡単に物理法則を捻じ曲げられる便利アイテムに
きちんと意味を持たせ、その意味に説得力を持たせるための世界観設定の
緻密さも見逃せない。
ゆるめのキャラクターデザインはTriggerならではのどこか懐かしくも
動きのあるアニメーションに良くマッチしているし、全体を通して
セピア調に仕上げられた色彩設定、YURiKAの歌う幻想的なOPテーマ、
それら全てが完璧な舞台装置として機能している。

では肝心のシナリオはどうかと言うと、これまたよく練られている。
Triggerが2013年時点からここまでのシナリオを用意していたかどうかは
定かではないが、さすがは長期間かけたプロジェクトの集大成と言うべきだろう。
前半の学園生活の中でたっぷりと登場人物を掘り下げていきつつ
少しずつ謎を開示していく手法は果てしなく王道的でありながらも、
Trigger特有のユーモアや遊び心がふんだんに散りばめられていて、
中盤まで視聴するとすっかりキャラクターに感情移入してしまう。
そして後半からの衝撃の新事実や怒涛の展開には十分に心を揺さぶられ、
最終回はもう圧巻である。
このあたり、さすがTriggerとしか言いようがない。

ファンタジーというジャンルが一般化し、多様化していく中で、
ファンタジーそのものへのワクワク感はいつしか何処かへ忘れ去られてしまった。
「リトルウィッチアカデミア」には、多くの作品に触れる中で
置いてきてしまった「原初のワクワク感」とでも言うべき魅力がある。

アニメを楽しむということをストレートに体験したい方には
是非ともお勧めしたい。

投稿 : 2020/01/07
閲覧 : 490
サンキュー:

8

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