きそべ さんの感想・評価

4.2
物語 : 3.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態：観終わった

えっ、13話は？

ソフトテニスパートは純粋に面白くて、スポ根アニメとして十分成立する。
キャラクターも皆それぞれ立っていて可愛らしく、本当にアニメオリジナルなのか？というぐらいよく出来ていた。
展開も間の取り方が上手く、ハッとさせられたこともしばしば。監督の力量を感じる。
また、子育て・教育・子どもの自意識の成立に関わるシリアスな社会問題に正面から切り込み、えげつないほど描き込んだ点、非常に意欲的だと思う。

ここまでは、すべてに満点に近い評価をして良いと思う。それぐらいに素晴らしい出来だった。


問題は、家庭問題パートでの配分ミスだ。
各家庭のトラブルを増やしすぎてしまい、収拾がつかなくなってしまった。（例の問題の12話で終わってしまった）

以下3つがかなり重いテーマで、未解決のまま残ってしまっている。
{netabare}
★眞己：お金がらみの家庭内暴力が続いていて、何やらクライマックスに差し掛かったところ。
★柊真：母親との関係が悪く、両親が離婚することになったところ。
★直央：母親が過保護のモンスターペアレントで、次なる手を打とうとしているところ。
{/netabare}
他のキャラクターの家庭にも色々あったが、割と一般的な問題だったり、気持ちの整理がついていたりすると思うので置いておこう。

監督は24話構成で考えていたということだが、このまま続いたとしても家庭問題が多くて少々重いのではないだろうか。
現実でも完璧な家庭なんてものは無いし、色々描きたかったのだと思うが、テーマを分散させすぎたことが何よりの問題なのだ。
テーマを1つに絞れば、12話でも十分に傑作として仕上げられた可能性は否めないと思う。

しかしそれ以外のクオリティが非常に高いので、この監督さんなら24話で素晴らしいまとめ上げをしてくるんではないか、という直感もある。
結局「13話」以降を見ないとなんとも評価できない作品だ。
良いものを見せてもらっていたのに、とんでもないところで放り投げられた。続編作ってくれ～！