シャベール大佐 さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
家庭に深刻な問題を抱える中学生たちを描くスポーツアニメ
中学の男子ソフトテニス部を舞台にしたオリジナルアニメ。全24話の予定が諸事情で全12話に変更になったのに、内容を短縮して纏めることをせず、物語の前半部分をそのまま作って放送したという、ちょっと珍しい経緯の作品。
形式はいちおう部活物で、最初はやる気のない弱小集団だったソフトテニス部が、主人公・桂木眞己の入部をきっかけに徐々にまともになっていく様子が描かれていますが、それぞれの部員の抱える家庭の問題にも多くの尺を割いています。
まずスポーツアニメとしては、展開がちょっと上手くいきすぎですが、基本的には爽やかですし、試合描写も別につまらないわけではなくて、まあ普通くらいの出来かな、といったところ。一方、個々の部員の背景については、DVや虐待などの深刻な題材を非常にたくさん詰め込んでいます。実際の社会にも、そういった問題は数多く存在しており、たとえ観ていてあまり気持ちの良い内容でなかったとしても、アニメ作品のテーマとして取り上げること自体はそれなりに意味があるのだと思いますが、今作の全12話の中では、ちょっと手を広げすぎて、様々な事例を並べたカタログのようになっている印象を受けました。それぞれのキャラにとって重大な問題が、観る側にとってone of themになってしまうのは、こういった題材の描き方としては望ましいことではなかったように思います。もし後半があるとしても、それほど深い掘り下げは期待できないように感じました。
作画は綺麗。音楽、声も、悪くなかったです。キャラは、特にこれといって魅力的な人間がおらず、そういうところはリアルっぽいのかもしれません。
最後まで観終わっても、物語は完全に途中なので評価に困るのですが、個人的な好き嫌いで言うならば、あまり好きになれない作品でした。もし続きが作られるのなら観ると思いますが、続きがなくても全然構わない、といった程度の興味度合いです。