なばてあ さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
純愛とマーケティングのアポプラスト領域
わたしはアイドル系アニメはほとんど見ない。わたしに限らずその手の苦手意識を持っているアニヲタはかなりのボリュームだろうけれど、あらかじめその苦手意識をキャンセルする本作の仕掛けはつとに人口に膾炙する。アニメ製作にも、徹底したマーケティングが必要だということか。わたしはそういう冷徹な計算のうえに成り立つ作品は嫌いじゃない。
なので『ゾンサガ』のフルCGライブシーンの出来が、他のアイドル系作品と比べてどのくらい優れているのかは、なかなか評価ができない。この作品だけ見ていると、すごく良くできているとは思った。個々のメンバー間のスキル差や、回を重ねるごとに上達する習熟度の繊細な機微でさえ、表現されていた。ふつうに手描きじゃムリ、それは間違いない。
手描きとCGの作画をおなじ土俵で比べてもしかたない。それぞれ別カテゴリの表現として捉えて、それぞれのカテゴリ内で洗練度合いを比べていくほうが生産的だろう。・・・だとすれば、日常シーンの手描き作画は、わたしはすこし物足りなかった。楽曲や物語の仕上がりと比較すると、どうしても残念に思う瞬間が少なくなかった。
楽曲は、さすがエイベックス。ベストアルバムも迷わず購入。現在ヘビロちゅう。
物語も、軽めだけど、それはそれで問題ない。おなじグループのメンバーなのに、それぞれ生きた時代が違うというポイントが、物語を前に進める原動力になっている。うまい。それがもっとも上手くはまっているのが純愛回。それ以外にも、ゾンビィギャグが毎回ちりばめられていて、それも面白い。何度聞いても笑ってしまうくらい。
お気に入りは第四話。前半と後半、まったくテイストがちがうけど、それぞれ隙が無いくらい完成度が高い。この話数は作画も安定していた。温泉にこだわる純子がかわいい。というか、好き。平凡で恥ずかしいけど、推しは断然、4号。それゆえ、第七話は神。愛をボーカルでヘルプした直後、間奏でキビキビ踊る4号の背中を見ると、自動的に涙が出る。
衝撃:★★★★☆
独創:★★★★★
洗練:★★
機微:★★
余韻:★★★☆