たわし(爆豪) さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
日本が「善」で、アメリカが「悪」ではない
祖父や祖母は、「火垂るの墓」や「この世界の片隅に」の世界の中で生きてきた人間であり、しかも江戸の下町出身なので、東京の大空襲や広島、長崎の原爆についてはお盆になるとよく話していた。
しかも、家は築100年経とうかというような所謂昔の日本家屋であり、木造の一戸建てであり、瓦屋根の縁側でスイカを食べたり、畑の作物を食べたりするのは今でも日常茶飯事なので「となりのトトロ」などで「日本の昔の暮らし」等いわれても現在進行形なのである。
なので、どちらかといえばこの作品も他人事などでは決して思えないので自然に泣けてくるのである。
しかし、今回の「完全版」はのん演じる「すずさん」の恋敵であもある「白木リン」さんとの三角関係が描かれると思っていたが、そこは強調されず、水商売で浮世離れした人も「死んで」しまえば、皆同じだという。。何とも寂しく悲しい話として描かれている。
こういう戦争議論でよくあるのが、では被爆国であり損害を被った「日本」が被害者で、原爆を落としそれに一度は酔いしれた「アメリカ」が加害者であるという単純な図式で語られることが多いが、確かにアメリカはこのあともベトナム、湾岸、イラクと学んでないように思われるが、日本も満州に渡った際には大量に人を殺してきたわけであり、西洋では「シンドラーのリスト」に描かれているようなナチスによる大量虐殺、一般のアメリカ人も「プライベートライアン」のように実は戦争など政治家の勝手な都合で、人など殺したくない人が大半である。
どの国も政治が「悪」なのであり、一般人は迷惑しているだけなのだ。
アニメーションや映画という立場は、そういった政治を皮肉ったり風刺する意味合いで作られる庶民の叫びなのであって、今年の「ジョーカー」や本作もそういった権力に踊らされた悲しい人間の話なのである。
どの国もその辛さに変わりはしない。普遍的な内容だと思います。