waon.n さんの感想・評価
2.8
物語 : 2.0
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 2.0
状態:観終わった
もったいないんじゃないか、これ。
これってポリティカルフィクションだと思うんだけれど、そうとするにはちょっとポリティカルな部分が薄味すぎる点と背景が全く分からない点でせっかくの着想を無駄にしてしまっているのがもったいないと思いました。
1.5倍速とはいえ12話を一気に見れたのが自分でも不思議でした。
どうして見続けられたかという考察になりますが、この物語を見ながら話の裏を考えるのがちょっと面白かった。序盤はこの世界の歴史的な背景を考えるのが面白く。7・8話あたりの物語はもう少し掘り下げてやってもらいたかったと個人的に思う。その辺りを想像しながら見てみるとちょっと面白い。
昭和の時代から公序良俗を掲げてメディア良化法が国会で通るようになったのかを想像すると面白い。本来は物語の中で語ってもらわなければならない部分かもしれませんね。
表現の自由の侵害は憲法違反では・・・ではそれがどうやって施行されていったのかという経緯が必要だと思うんですが、これがすっぱり抜け落ちている。近未来でこれを実現しようとしたなら、とても大きな事件が起きなければちょっと無理がある設定じゃないかね、とか思ったり。さらには検閲のためならマシンガンをもった兵隊が街中で巡回しているというトンデモな状況のリアリティの無さ。それに対する市民の無頓着さが拍車をかける。
いや、これフィクションだし。という意見もあるだろうけれど、こういった近未来を描き、実際の地名などを使っていると、作品全体で作り物感を消す事が難しい。
原作は小説らしいけれど、小説だと情報の入ってくる順番を整理できるので、上手くやれば誤魔化す事もできるだろう、例えばこの作品なら恋愛がその役割を担っている。恋愛要素を先に押し出してしまえば世界観をあまり意識せずに読み進められる。
アニメはそうはいかんね、入ってくる情報が多くて同時だし、戦闘の場面はちゃんと撃ち合わないといけないわけでどうしてもそこを意識させてしまう。どうしても戦闘中の演出が茶番にしか見えないのはこのせいでもある。
それでも見れたのは恋愛というスモークのおかげだろうね、恋は人を盲目にさせるとはよく言ったものだ(違う)
恋愛要素もこの薄味背景のせいで日常の中の恋愛みたいに映るから図書隊という名の武装勢力(何で許されてるの?)という非日常での恋愛ドキドキ感が無かったりするんですよね。これだったらデイ・ライトのスタローンだって恋に落ちないよ。
でも謎に最後の方すこし感動したまである。自分が分かりません。
小説は全然読んだことないけれど、これがシリーズ化されているならきっと奥深く描かれているんだろうと思う。どうしてこういう世界観になったのか知りたい。検閲というのはどこかディスとピア感があって好きだし1984年の雰囲気が出ていたら良いな。
もうさメディア良化委員会を組織したきっかけとの対峙とかにすればスケール大きくて面白い。
それを重火器などでの戦いだけでなく、話し合いだったりPR戦だったり色々な状況が回っていくような話を期待したい。
話しが脱線しすぎた。。。
もしこれをアニメにするなら、戦闘はしないほうが良かったと思う、したとしても描写しないとか?
恋愛要素だけを抜き出して見れるならおいしくいただける良作だと思います。
色々な部分が気になっちゃうって方はお勧めできません。物語のための設定を作ることは成功してますが、設定のために物語を作れてないのがもったいない。アニメだと難しいのかもしれませんな。